景表法検討会に事業者団体が意見 【第6回会合】「関係業界から広くヒアリングすべき」
消費者庁「景品表示法検討会」(中川丈久座長=神戸大学大学院法学研究科教授)の第6回会合が15日にオンラインで開催され、前回会合に引き続き、関係団体や学識経験者からの聞き取りを行った。
第4回会合までに方向性を整理。「方向性をより具体化する」(座長)として聞き取りを進めているが、意見聴取の対象は消費者団体に傾斜している。この日、事業者団体として唯一ヒアリング対象に指定された(公社)日本通信販売協会(JADMA)の万場徹専務理事は、広告業界からデジタルプラットフォームまで、景表法に関係の深い業界について広く聞き取りを行うべきだと意見した。
第6回会合でヒアリングしたのはJADMAの他に適格消費者団体の(公社)全国消費生活相談員協会(全相協)、岩本諭・佐賀大学経済学部経済法学科教授の2団体1人。前回の第5回会合では、(一社)全国消費者団体連絡会、(特非)消費者支援機構関西(KC’s)のいずれも消費者団体から意見聴取を実施。岩本教授は学識経験者だが、佐賀県を拠点とする適格消費者団体の理事長も務めている。これまでの聞き取り対象は事業者団体1、消費者団体4から行っている。
次回、来月開催する第7回会合では、学識経験者2人のほか日本弁護士連合会から聞き取りを行う。その後、議論の整理、報告書案の検討を経て、年内に報告書を取りまとめる。
検討会は主な論点として、独占禁止法で規定されている確約手続きの導入、返金措置の促進、課徴金の割増など違反行為に対する抑止力の強化──などを掲げている。法執行に関する特定商取引法との連携、デジタル表示の保存義務なども論点。
確約手続きの導入、「メリットあるか疑問」
第6回会合で全相協は確約手続きの導入について「基本的に賛成」としつつ、不当表示を繰り返した事業者に対して「重い罰則を科す」などの措置を求めた。岩本教授は、返金措置を盛り込んだ確約手続きの導入を要求した。
一方、JADMAの万場氏は、「(確約手続きを導入する)メリットがあるかは疑問」と意見。独禁法と同様に「公表」が前提となると、「措置命令と同等の事実上の制裁を受けることになる」とし、事業者が積極的に利用しようとするインセンティブにつながらないと指摘した。確約手続きではなく、調査着手前に確約手続きの認定に足る自主的な取り組みがなされている場合に限り、措置命令や確約手続きの対象とはしないことを明確にするほうが「早道」だと主張した。
【石川 太郎】
(冒頭の画像:オンライン開催された景表法検討会第6回会合の様子)