旧統一教会元2世信者が涙の訴え 会見の中止を求める旧統一教会の「解散」求める
外国特派員協会で元2世信者が会見
日本外国特派員協会(東京都千代田区)で7日、旧統一教会の元2世信者・小川さゆりさん(仮名)が記者会見を行った。同日、一部のマスコミが報道した。マスコミが注目したのは、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が会見の直前、会見の中止を求めて同協会に対してFAXを送っていたという事実だ。しかも両親の署名入りだった。にもかかわらず、その内容を知らされたさゆりさんは当日、「続けていいか」という通訳の問いかけに「大丈夫です」と気丈に答え、そのまま会見を続けた。
旧統一教会から届いた文書はさゆりさんにとってショッキングな内容と判断、彼女の付添人の男性(ご主人)が配慮の上で代読した。男性は「今、旧統一教会からメッセージが届きました」と続けた。「ここには彼女の両親の署名が入っています。内容を要約すると、『彼女は彼女が言っているように精神に異常を来しており、安倍元首相の銃撃事件以降、その症状がひどくなってしまっていて、多くの嘘を言ってしまうようになっています。そのためこの会見をすぐに中止するように』というメッセージが届きました」と説明した。
さゆりさん「悲痛な声」の背後に伴侶の支え
共同通信の記者からの質問に鼻をすすり、涙をこらえながら答え終えたさゆりさんは、「ちょっと喋らせてください」と述べ、両親が自分の貯金を献金に費消したこと、未だに返済がないこと、そういうことが積み重なった結果病を発症して通院・入院したことを病名まで挙げて告白した。
「確かにそういった病気を患った人は、冷静な判断を取れないと取られてしまうかもしれません。しかし私は18歳でその病気になって、今日まで治療を続けてきました。何度も救急車で運ばれたり、入院ももう一度しました。両親も面会に来ました。そのときもお金を1円も出してくれませんでした。そして・・・・・・」と、4年間にわたり自分を支えてくれた伴侶との出会いに言及した。込み上げてくる思いを抑えて、「きっと普通の人ならこんな自分とは結婚したいと思わないと思います。それでも、どんなに症状が出たりしても私を見捨てずに信じてくれました。なので、そういった心の症状について人格がおかしくなる症状については、もう4年前の時点で治っています。なので現在私は正常です」と語った。
最後に、「お金を返しもしないで自分たちが正しいという自分たちの主張だけを続けている人たちと、自分(さゆりさん本人)とどちらが悪なのか、これを見て下さっている多くの方は分かってくれていると私は信じています」と、意志を込めた低い調子の声で語り終えると、机上のティッシュに手を伸ばして頬を伝う涙を拭きとった
そして最後に、「私が正しいと思って下さるなら、どうかこの団体を解散させてください」とマイクの向こう側にはっきりした口調で呼び掛けた。
日本ビデオニュースの「プレスクラブ」で全編視聴可能
会見半ば、両親が親としての優しい一面も持ち合わせていたという思い出を語った後だっただけに、旧統一教会からの筋違いのメッセージが一層心に堪えたのだと思われる。
20歳の時に合同結婚式で結ばれた両親。父親が元教会長、母親は教会から出馬した議員のためにウグイス嬢を務めるほどの熱心な信者だったという。さゆりさんは、生まれた頃から自分の意思に関係なく、礼拝参加や教義本訓読の強制、恋愛禁止を教えられ、破った場合は地獄に落ちるなどと脅される教育を受けてきた。礼拝の際に公職者によるセクハラも受けたことがあるという彼女は、安倍元首相の暗殺後、自分同様に多くの苦しみを持つ信者の存在がいることを知り、宗教による被害をなくそうと思い、現役信者や元信者へのアンケート調査を実践しているという。
百聞は一見に如かず。彼女の会見の模様は、忖度しないジャーナリズムとして定評のある日本ビデオニュースの「プレスクラブ」でノーカット視聴できる。
【谷山 勝利】