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日経クロステックの検証セミナー開催 批判に対し、唐木・竹田両氏が届出対策を提案

 ㈱ウェルネスニュースグループ(東京都港区)は14日、「日経クロステックの記事を検証する~業界はどう答えるのか?」というテーマで、機能性表示食品の届出に関するオンラインセミナーを開催した。

 技術系デジタルメディア『日経クロステック』が8月、「機能性表示食品制度の瑕疵(かし)」と題して、誌面で機能性表示食品制度のあり方に疑義を突き付けたのに対し、東京大学名誉教授の唐木英明氏と関西福祉科学大学の竹田竜嗣氏が同誌の批判を踏まえ、業界や企業はどう対応すべきなのか、研究レビューのあり方、クロステックによる批判への対応策などについて解説した。大手食品・製薬企業の担当者をはじめ、受託企業、専門家、消費者団体などが多数参加した。

 唐木氏は、「機能性表示食品の届出資料の科学的検証」と題して、薬品の開発で用いられるプラセボ対照RCTを食品に用いることの矛盾を指摘。心因作用の大きな健康食品の場合、プラセボ対照RCT試験では有意差が出にくい。そのために統計の誤用問題を引き起こす。健康食品の効果を引き出すためには、無処置対照RCTが有効だとし、心因作用とは何か、なぜ無処置対照RCTなのかについて、2001年の厚労省課長通知を紹介するなどして説明した。
 竹田氏は、「食品の臨床試験の実施・論文のあり方~誤解や批判を生まないために」と題して講演。日経クロステックが指摘した「多重性」や「解析除外者」、「ジャーナルの査読」の問題などを取り上げ、適切な対策を説明した。

 ウェルネスニュースグループの藤田勇一記者は、日経クロステックの取材を受けた事業者や消費者庁に事実関係の確認取材を行っている。最後に同記者が、取材対象者の今後の対応などについて報告した。
 さらに、日経クロステックの記事に対して業界の各団体がどのような反応を示したのか、(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)、(一社)健康食品産業協議会、(一社)国際栄養食品協会(AIFN)、(一社)日本栄養評議会(CRN JAPAN)、(公社)日本通信販売協会(JADMA)の見解を紹介した。

 今回、批判を受けた事業者が採用した論文について唐木氏は、「論文の質は高くなく、医学系の雑誌に投稿したらかなりの確率でリジェクトされる内容ではないかと思う。理由は2つある。論文自体の質が良くないのをレフェリーが適切に判断していない。もう1つは、医学系の雑誌に投稿すると、レフェリーは科学的な根拠で論文を判断するはずだが、そこには個人的なバイアスがかかる。私自身がそうだったが、健康食品なんて効くはずがないという偏見を持って論文を見たらこれはダメだとなるし、プラセボ効果を治療効果として認めるべきではないということになる。そういう理由で、医学系の雑誌で論文が受理されるのは難しくなる。こういう構造的な問題の中で事業者は苦労しているようだが、それでも統計の面で大きな問題が出ることは避けてほしい」。
 竹田氏は、「届出上は問題がないところを科学的根拠で突かれたので事業者はかなり困惑の様子だ。(半面)この制度がそれだけ注目され、世間では無視できないほど大きくなってきている証拠でもある。(業界の)会員企業が(集まり)勉強会などの仕組み作りを行って、外へ向かってアピールしてほしい」と、批判を謙虚に受け止める姿勢が必要だと述べた。

 また、業界団体のコメントを受けて2人は、「事業者1社が対応するのではなく、会員企業を守るために業界団体が対応することが大事だろう」(竹田氏)、「業界団体が何のためにあるのか。個々の企業で対応できないところを業界団体が代弁する。社会や行政に向けて発信するという役割があるはず。この問題については業界人も言いたいことはたくさんあるはず。しかし個々の企業が言えないのであれば、業界団体がそれを汲み上げて業界のコンセンサスとして社会に発信すべき」(唐木氏)と業界団体の役割について言及した。

関連記事:9・14機能性表示食品届出セミナー

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