日本生協連、2021年度活動方針を発表
日本生活協同組合連合会は7月15日、東京ミッドタウンタワーで全国生協と日本生協連2021年度活動方針や重点施策などに関する記者会見をリアル開催した。コロナ禍にもかかわらず、40人を超えるメディアが参集した。
今年6月に代表理事会長に就任した土屋敏夫氏は「SDGsの達成や日本協同組合連携機構を軸に、他の協同組合や諸団体との連携をさらに広げ、世の中に一歩先んじた社会的課題の解決に取り組む」と骨太な今後の方針を明らかにした。
2020年度のふり返りでは、嶋田裕之代表理事統括専務より新型コロナウイルス感染拡大を受けた4つの危機への対応を紹介。ピーク週供給高は宅配150%超、店舗で約120%の伸びとなった。2021年度に向けた課題では「地域における助け合い」、「協同の実践と発信」、「購買事業バリューチェーンにおける矛盾の見直し」などを挙げ、これらの解消を目指すとした。
また、全国生協の「2030環境・サステナビリティ政策」の策定背景については、サステナビリティをめぐる急速な動きへの対応や、生協の多様な取り組みを見える化するため、社会に発信していくことの必要性に言及。その上で、コープSDGs行動宣言の具体化など柱となる計画を示しながら、「2030政策では、よりエシカル消費(※1)の推進やプラスチック製容器包装、紙使用量の削減などを補強した内容となっている」と、今後の社会的課題の解決に意欲を示した。
藤井喜継代表理事事業担当専務が「DX-CO・OPプロジェクト」の進捗状況、コープ商品事業の方針などについて報告した。
スローガン「チャレンジ変革2021」をもとに、「コープ商品の共同開発、コスト競争力を持った事業連帯構造構築に向けた取り組みやコロナ禍で若い宅配利用者が増えた機会を捉え、宅配リノベーションの取り組みを会員生協とともに推進していく」と述べた。
ICT、AIなどのデジタルテクノロジーを活用することで宅配や物流の最適化を図るDX-CO・OPプロジェクトでは、コープ東北サンネット事業連合、コープデリ連合会、東海コープ事業連合との4者共同によるサービスを昨年開始。レシピから注文できるウェブサービス「コープシェフ」では、NHKの料理番組と組合員からの注文商品をベースに、その志向をAIで分析し、食材とレシピを提供。
好評のため5月末からは、コープ東北サンネット事業連合の会員生協全体にサービスを拡大した。2030年には全生協でのサービス実施をめざすという。また、配送ルート最適化では、5月からコープあいちで実証実験をスタート。結果、総配達時間が15%減、総走行距離が9.7%減などの成果を上げているという。
日本生協連ではこれらのさまざまな取り組みを通じて、2030年ビジョン「つながる力でみらいをつくる」に沿った事業を展開していく構えだ。
【堂上 昌幸】
(冒頭の写真:(左から)藤井喜継代表理事事業担当専務、土屋敏夫代表理事会長、嶋田裕之代表理事統括専務)