日本生協連、2020年度業績報告会をオンライン開催
<供給量3兆円台達成>
日本生活協同組合連合会(東京都渋谷区、本田英一代表理事会長)は13日、2020年度業績報告およびコロナ禍での社会的取り組みなどに関する記者会見をオンライン形式で開催した。
会見では、二村睦子常務執行役員から全国の地域生協の総供給量が3兆円の大台に達したことや、デジタルトランスフォーメーションへの横断的な取り組みなどに関する説明が行われた。
20年度事業では、全国120の地域生協の概況で組合員が2,996万人(前年比101.2%)と伸長し、3,000万人台達成が目前であること、宅配と店舗事業を合わせた供給高が3兆683億円(前年比111.8%)と、生協連として初めて3兆円台を達成したという。
<20代30代の利用者増>
9,513億円となった店舗事業も前年を超過し(前年比104.3%)、宅配事業は2兆1,170億円(前年比114.9%)とこちらも前年を上回った(※注)。特に宅配においては、コロナ禍の巣ごもり需要が追い風となり、従来は50歳代の新規会員が中心だったが、20~30代の既婚者層が新規会員の6割を占めるほど利用が広がった。
「週1回決まった日時に宅配を受け取るのは面倒と考える人もいるが、むしろ週1回決まった時間に届けられる利便性を生活サイクルに採り入れた新規会員が多いのではないか。継続利用したいとの声も約7割ある」とし、翌21年度の事業見通しでも「宅配は前年並みか微増を予測している」と期待した。
<7月30日「消費者生活協同組合の日」>
また昨年から取り組んでいる近未来戦略「「DX-CO・OPプロジェクト」にも言及した。これはICT、AIなどのデジタルテクノロジーを活用することで宅配や物流の最適化を図る取り組み。単にシステムを開発するだけでなく、従業員の働き方を変え、組合員の暮らしをより豊かにすることを目的としている。
「たとえば希望に応じたパーソナルな1週間分のレシピをAIで提案し、気に入って注文されるとレシピ通りの食材が届くという取り組みも検証がスタートしている。さらに配達コースを最適化することで、効率的に作業が終了でき、職員の労働負担を減らす実証実験も始めている」(二村氏)という。
会見ではそのほかSDG’sに対する取り組みや、他の協同組合とのコラボレーションによる社会貢献事例なども紹介された。また、創立70周年を記念し、(一社) 日本記念日協会に、7月30日を「消費生活協同組合の日」として登録したことを明らかにした。
【堂上 昌幸】
※注:店舗分は2月度実績、宅配分は11月度実績に基づく年度見込み
(冒頭の写真:日本生協連本部)