日本機能性食品医用学会、機能性を付加した食品の役割・展望を発表
日本機能性食品医用学会(宇都宮一典理事長)は25日、「日本機能性食品医用学会教育セミナー2019」を都内で開催し、約90人が聴講に訪れた。「健康寿命延伸のための機能性食品の役割とその展望」をテーマに、機能性表示食品の現在と今後、高齢化社会における機能性を付加した食品の役割など4題の演目を発表するほか、ランチョンセミナーも開かれた。
「機能性表示食品制度について」をテーマに講演した消費者庁食品表示企画課課長補佐の久保陽子氏は、保健機能食品の3制度についての説明や、機能性表示食品の安全性・機能性の評価などについて解説した。
また、久保氏は最近の届出状況や、オリゴ糖などの糖類で新しい栄養成分が含まれる商品が増加している現状を紹介。今年4月からは機能性関与成分が明確でないエキス等も届出が可能になったことなどにも触れ、「安全性や科学的根拠、表示の仕方についてはガイドラインの改正によって期待される効果を出すように努めている。また限定的ではあるが買い上げ調査によって、届出内容の妥当性も評価している」と話した。
東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授は「健康長寿 鍵は“食力”国家戦略としてのフレイル予防」を演題に、フレイル対策の軸となるのは歯科口腔機能の維持であると述べた。
高齢者の主に筋肉量減少にともなう身体機能の低下であるサルコペニアに対し、フレイルはそれに加えて日常活動量や認知機能などの低下を示す。飯島氏は「高齢者により必要とされるのは腹部内臓脂肪の計測ではなくフレイル予防であり、高齢期の2週間の寝たきりは7年分の筋肉の喪失など、科学的根拠ある最新治験をわかりやすくハートに届くように伝えることが重要だ。その上で国策として食と口腔機能の維持・改善に努めること、要介護者を減らすことにつながる」と今後の国の制度づくりに期待を寄せた。
このほか、腸内環境を意識した食事療法、摂食えん下障害の訓練の実際、分岐鎖アミノ(BCAA)の機能性研究をテーマにした講演も行われた。
(写真:会場の東京慈恵会医科大学講堂に約90人が参加)
【堂上 昌幸】