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新・セルフケア掲げて進める健康啓発 【フェムテック特集】製品開発で得られた知見生かす

 女性特有の健康課題に目を向け、それを解決しようとする研究開発を、「フェムテック」の言葉が生まれる以前の1990年代から進めていた企業がある。製薬メーカーであり栄養製品のメーカーでもある大塚製薬㈱(井上眞社長)。そうした製品の開発だけでなく、粘り強い健康啓発活動を続けてもいる。フェムテックをめぐる同社の取り組みを見てみる。

従来セルフケアとの違い 医療専門家のサポート受ける

 女性特有の健康課題に対応する製品(サプリメント)を2010年代に発売したのを機に、「女性の健康」に関する啓発活動を始めた。年齢に応じたホルモンの変化で生じる身体の変化や、それにともなう身体的・精神的な不調のメカニズムや対処方法などについて、女性自身の知識が不足していると感じたのが理由だ。

 「女性活躍推進のためには女性の健康課題の解決が必要」と強調する同社では現在、ウェブサイトなどを通じた各種の情報発信をはじめ、女性が長く働ける環境作りをサポートする目的で企業向け「女性の健康セミナー」を開催するなどしている。セミナーでは男性社員の参加も促す。

 こうした健康啓発活動を専門的に担っているのが、女性の健康推進プロジェクト(西山和枝リーダー)だ。同プロジェクト名の下で啓発活動を進めながら、「女性が活き活きと、公私ともに充実した生活を送れるようサポートしています」といい、女性の健康課題に取り組むための新たな概念として「新・セルフケア」を提唱してもいる。

 新・セルフケアとは、「女性ホルモンに関して、自身が正しい知識を持ち、行動に移す事に加え、『婦人科検診/健診』『かかりつけ医』という医療専門家のサポートを合わせたもの」。従来のセルフケアとの違いは、自身の知識・行動にばかり頼るのではなく、かかりつけ婦人科医をもつなど「医療専門家のサポート」も受けながらセルフケアに取り組むところにある。新・ヘルスケアについて同社は次のように説明する。

 「女性が自身の身体に起こり得る変化を正しく理解し、不調の原因を知って対処することを推奨しています。それを基本要件として、(自身が取るべき行動としては)『睡眠、運動、栄養』があります。栄養、つまり口から摂るものの中には、サプリメントも含まれます」。

 では、女性の健康課題を解消するためのセルフケアに、サプリメントの利用を取り入れる意義とは何だろうか。

 「女性特有の不調に関して臨床の現場では、カウンセリングや生活習慣の見直し指導から医薬品の処方などまであらゆるステップが存在します。医薬品での治療でなく、よりナチュラルな方法でまずは対処したいという方も多く、サプリメントはそのようなニーズに対応できると考えます」。

 大塚製薬では、研究開発を手がけたサプリメントのうち、『女性の健康分野』関連商品に関しては販路を絞り、医療機関、調剤薬局、そして自社通販(オーツカプラスワン)に限定している。

 そのように販売チャネルを絞るのは、女性に特有の健康課題を解消するための「新・ヘルスケア」に組み込まれるサプリメントは、医療従事者などから提供される正しい情報に基づき利用されるべきと考えているためだろう。そうしたサプリメントの中から今後、機能性表示食品が生まれることはあるのだろうか。

【石川 太郎】

(冒頭の画像:大塚製薬が進める「女性の健康推進プロジェクト」のホームページをキャプチャ。新・セルフケアを提唱している)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都千代田区神田司町2-9
TEL:03-6717-1400(代表)
URL:https://www.otsuka.co.jp/
事業内容:医薬品・臨床検査・医療機器・食料品・化粧品の製造販売など

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