1. HOME
  2. 機能性表示食品
  3. 新たな試験法の具体案を検討 健康食品試験法研究会が第3回会合を開く

新たな試験法の具体案を検討 健康食品試験法研究会が第3回会合を開く

 医薬品とは異なり病気ではない人を主な摂取対象とするサプリメント・健康食品(機能性表示食品)に適した有効性評価方法を考える「健康食品試験法研究会」(唐木英明代表)の会合が13日あり、唐木代表が提案する新たな試験法の具体案について検討した。

 ヒトを対象にした試験の前段階として行うin vitro/in vivo試験(前臨床試験)で有効性が確認されている一方で、ヒト試験(臨床試験=プラセボ対照試験)では有効性が統計学的な有意差をもって示されないことがある。そうした矛盾が起きる理由としては、ヒトでは効果がない、あるいは、プラセボ効果が大きく出過ぎて実際の効果が過少評価されている──のどちらかが考えられる。しかし、プラセボ対照試験においてそれを見極めることは事実上、不可能。実際には効果があっても、有意差が認められないのであれば「効果がない」と見なすことになっている。

 そうした課題の解消を目的に、唐木代表は、医薬品や健康食品の有効性評価方法として一般的に用いられているプラセボ対照試験と、「無処置対照試験」を併用する方法を提案している。無処置対照試験とは、対照群にプラセボ(偽薬)を与える介入を行うのではなく、「なにもしない」こと。この場合、無処置群との比較で有意な差が認められたとしても、それは心因効果(いわゆるプラセボ効果)に過ぎない可能性も考えられるが、in vitro/in vivo試験で有効性が確認されていることを前提に「有効性があると判断できる」と唐木代表は訴える。

プラセボ対照試験が不適な事例、「科学的に明確にすることが先決」

 研究会の会合は、昨年11月の発足以来、この日で3回目。唐木代表は、新たな試験方法として、試験群・プラセボ群・無処置群の3群に試験参加者(被験者)を無作為に振り分ける方法を提案した。試験群とプラセボ群との間で有意差が認められた場合に有効性があるとする解釈は従来からのプラセボ対照試験と同じだが、そこで有意差が認められなかったとしても、無処置群との比較で有意差が確認された場合は、有効だと解釈することも可能ではないか、と唐木代表は主張。ただし、そう解釈する場合でも、in vivo試験などの前臨床試験で有効性が「十分に証明されている」ことが必要絶対条件になる、とした。

 一方で、研究会を構成する有識者のメンバーからは疑問の声も上がった。心因効果である可能性を完全に拭い去ることが困難な中で「有効」だと解釈し訴求することに対する社会的な理解を得られるかどうか、通常であれば2群(試験群とプラセボ群)で済む試験群を3群とすることに伴う試験費用の上昇を事業者が受け入れるかどうか──などといった課題を指摘する声が上がり、有効性の評価手法の1つとして無処置対照試験を取り入れるにしても、「プラセボ対照試験が相応しくない事例を科学的に明確化する必要がある」とする意見も出た。実際、生鮮食品や一部の加工食品では、そもそもプラセボを用意できない場合がある。
 
 こうした意見を踏まえて唐木代表は提案を一部修正。ヒトに対してはプラセボ対照試験で効果判定を行うことを原則とした上で、プラセボを用意することが困難な場合は無処置対照試験により効果判定を行うこと、プラセボ対照試験で傾向差が示された一方で5%以下の水準で有意差が認められない場合は無処置対照試験で効果判定を行うこと──などを提案した。

 研究会は引き続き議論を続け、新たな試験法を具体化し、行政などに提言することを目指す。明日から、本サイトで過去の議事録を公開する予定。

【石川 太郎】

関連記事:健康食品試験法研究会が初会合 効果の評価方法、プラセボ対照試験「以外」を模索
    :19日、第2回健康食品試験法研究会開催 「無処置対照試験に適した項目」など例示へ

(冒頭の写真:第3回研究会資料より)

「第3回健康食品試験法研究会」資料のダウンロードはこちらから

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ