成熟期に突入した九州ヘルスケア市場(前)
<大幅な業績アップは厳しい状況>
急成長を続けてきた九州地域の通販各社では業績が横ばいに転じ、市場は成熟期へ入ったとの見方が出ている。テレビショッピングやカタログ・チラシ媒体を得意とする通販会社も、ウェブでの情報発信を模索中。九州地域のヘルスケア市場の動向を追った。【正野 義信】
通販各社によると、九州の健康食品市場は拡大するという見方がある一方で、健康食品市場は成熟期に入ったと考える企業も少なくない。通販会社の売れ筋商品は、健康酢・青汁・美容系などが根強いファン層を持つが、大幅な業績アップは厳しい状況にある。また、訪問販売会社や代理店卸販売でも、健康食品は成熟期に入ったとの見方が多い。
九州では古くからデパートやスーパーでの実演販売が盛んで、通販はテレビショッピングやカタログ、DMなどが中心となってきた。訪販はテレマーケティングやネットワークビジネスも盛んだった。しかし、パソコンやここ数年で一気に台頭してきたスマートフォンにより、大幅な販売スタイルの転換期を迎えている。また、今まで店舗販売や訪問販売が中心だった企業も、従来の販売スタイルを維持しつつ、ウェブサイトでの販売を試験的に導入するケースが増えている。
一方、受託製造企業はフル稼働の状況にある。九州には受託製造企業が少ないという事情もあるが、発注から納品まで3~4カ月かかることもあるようだ。さらに追い打ちをかけているのが、人手不足の問題。募集をかけてもなかなか人が集まらない状況が続いている。
<機能性表示食品への対応に格差>
機能性表示食品の届出支援を行う(有)健康栄養評価センターの柿野賢一代表は、機能性表示食品について次のような見解を示す。「機能性表示食品の届出が1,600件を超えたと騒がれているが、ほとんど大企業が先行しており、中小規模の事業者は着いていけない状況にある」。
九州地域バイオクラスター推進協議会の事務局を務める(公財)くまもと産業支援財団の企業支援部・松本淳一部長によると、発足当初は機能性表示食品に関心が集まったが、時間が経ち、ハードルが高いと言われ始め、「時期尚早」と判断して諦めてしまう事業者が多いという。一方、生産者のニーズは高まっているようで、チャレンジ精神は旺盛と指摘する。
※詳細は「Wellness Monthly Report №6」(12月末発刊)に掲載予定。
(つづく)
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