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座談会――九州の自治体による事業者支援の実態は?(後)

<経費の1/2・上限100万円を支援(一木氏)>

 柿野 九州でも、自治体のなかにはまだ1件も公開されていない県がある。全国的には相当に難しいと考えて、撤退を考えている自治体もかなりあるということだ。とは言え、それでも何とかしたいという経営者もいるわけなのだから、そこを何とかサポートしてあげたいと考えている。一木部長の方では、制度開始以来、県内で何社くらいを支援されているのか。

 一木 14年からの相談窓口の取り扱いは、延べ176社。目利き調査については105件、届出を目指すためのセミナーを1クール5回で年間2クール開催しているが、これまでの累計の参加者は43事業所・52人。現在、県内企業の届出公開が103件あるが、そのうち33件が何らかのかたちで当社のアドバイスを受けて公開された製品となっている。当社で最後まで支援した企業は4社・4製品。さらに、今年度から正式に機能性表示食品届出可能性試験という事業で、支援を始めた目利き臨床試験が3件ある。以前から実施してきた簡易な臨床試験を合わせると、16年4件、17年3件となる(18年11月末現在)。

 柿野 臨床試験ではプラセボ群も設定した試験になると思うのだが、経費はどこが負担するのか。

 一木 今年度から開始した分については、経費の2分の1、上限100万円まで当社が支援する。

 柿野 臨床試験に力を入れるのには理由があるのか?

 一木 他社との差別化を考えた場合、似たような届出が増えたことも理由の1つと思う。この成分でやりたいと考えたときに、臨床試験まで実施することで、しっかりした届出をしたいという事業者が増えたのではないか。

<専門家による寄り添った支援が必要(松本氏)>

 柿野 九州地域バイオクラスター推進協議会では敷居が高いという話があったが、企業からの相談などについてはどういう対応になるのか。また臨床試験に対する補助金制度はあるか。

 松本 臨床試験については今のところ対応していない。相談については、協議会のマネージャーから大学の先生にアドバイスを求めたり、直接、企業を紹介したりすることにしている。ただし、大学の先生も忙しく、機能性表示食品制度に乗せようとする段階で、分析しなければならない検体の多さ、手続きの煩雑さなどが理由で企業側のモチベーションが徐々に萎えていくケースが多いようだ。

 柿野 各県に1人のアドバイザーを置いて、その人が最後まで見届けるような体制を作ることができるといいのだが。

 松本 先ほどお伝えしたメーカーとは逆に、生産者のニーズは高まっているようだ。九州には「俺が作っている」と燃える生産者が結構多く、自分が作っているものは機能性表示食品でも対応できるのではないか、と考える人たちが出始めている。私たちも、彼らが挑戦したいという要望に応えて応援しているのだが、届け出るためのドキュメンテーションだとか、製品の完成度、その先のマーケティング力などは横に置いたままの状態だ。

 トライしようという意欲が先行し、高まるのはいいのだが、いざ始めてみると手続き面や体制面で現実の高い壁にぶつかるというのが実情。それだけに同制度を熟知し、得意としている人たちが寄り添って応援してもらえるような体制作りが必要だと痛感している。残念ながら、今の協議会の体制はそこまで追い付いていない。

 柿野 熊本県ならこの人、鹿児島県ならこの人というように、公費で雇われた専属のキーマンがいればいいと思う。

(了)

(写真:(右から)柿野氏、一木氏、松本氏)

【文・構成:田代 宏】

※詳細は月刊誌「Wellness Monthly Report №6」(12月末発刊)に掲載。

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