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広告差止訴訟、適格消費者団体が上告 ネットおかやまVSインシップ、専門家「受理のハードル高い」

 ノコギリヤシ果実エキスを配合した健康食品の広告表示が景品表示法違反(優良誤認)にあたるとし、健康食品通販会社を相手取り広告表示差止請求訴訟を起こしたものの、1審、2審とも敗訴した岡山の適格消費者団体が、最高裁判所に上告および上告受理を申し立てた。

 上告の受理には、2審判決に憲法違反や重大な事実誤認があるなど、相応の理由が必要。この裁判に注目してきた景表法に詳しい法曹関係者は、2審判決の内容も踏まえ、上告受理の「ハードルはかなり高い」と見る。1審、2審に勝訴した通販会社は取材に、「企業活動の妨害を継続する(適格消費者団体の)姿勢には非常に困惑している」とコメントした。

1審、2審とも敗訴

 この裁判は、適格消費者団体の(特非)消費者ネットおかやま(岡山市北区、河田英正理事長)が、健康食品通販会社の㈱インシップ(千葉県浦安市、小野伸二郎社長)を相手取り起こしたもの。提訴は2020年2月。ノコギリヤシ果実エキスを配合した、保健機能食品ではない健康食品について、「中高年男性のスッキリしない悩みに!」などとうたう広告表示が優良誤認に該当するかが争点になった。

 適格消費者団体は、頻尿を改善する医薬品であるとの誤認を引き起こす恐れがあること、そうした誤認が生じないのだとしても、実際に頻尿改善効果があるか「疑わしい」ことを理由に、優良誤認表示に該当するなどと主張していた。

 1審の岡山地裁は、適格消費者団体の主張を全面的に斥け、請求を棄却。一般消費者は広告表示から「頻尿の男性に向けられた商品との印象を受ける」としつつ、具体的な治療効果などが記載されていないこと、記載された使用者の体験談は抽象的なものにとどまること、「栄養補助食品」等と記載があることなどを理由に、医薬品と誤認される恐れはないと判断した。

 頻尿改善効果の科学的根拠に関しては、ノコギリヤシ果実エキスの摂取に伴う同効果を否定する報告、肯定する報告がそれぞれ複数存在することを念頭に、「個人差のある一定程度の頻尿改善効果の可能性を表示しているにすぎない広告について、効果に否定的な研究があるからといって、直ちに優良誤認表示に当たるなどということはできない」とした。

高裁、立証責任の転換認めず

 そして2審の広島高裁岡山支部は、1審判決を支持して控訴を棄却した。

 2審で適格消費者団体は、景表法7条2項が規定する「不実証広告規制」を根拠に、優良誤認表示ではないことの立証責任は事業者(インシップ)が負うと主張。同規制が規定する、広告表示の裏付けとなる要件を満たす合理的根拠が提出されていないなどと訴えた。だが高裁は、適格消費者団体による差止請求訴訟に7条2項規定は適用されないとし、「立証責任は適格消費者団体自体が負う」と指摘。その上で、「あたかも不実証広告規制と同様に立証責任が転換されていることを前提とする主張をするのみで、特段の立証をしない」とし、適格消費団体の主張と行為をとがめた。

インシップ、ネットおかやまの「社会的責任追及する」

 2審判決は、昨年12月7日に言い渡されていた。適格消費者団体によると、上告および上告受理を申し立てたのは同19日。それを公表したのは先月末だった。一方、インシップはメールを通じた取材にきのう7日、次のとおりコメントした。

 「消費者ネットおかやまの行為は刑法上の『法律の錯語』に該当することは明らかです。また、自らの法律を逸脱した行動を反省することなく、企業活動の妨害を継続する姿勢には非常に困惑しております。今後、株式会社インシップとしては、真の意味で消費者を守るためにも、広島高等裁判所が断罪したとおり、法律を騙った偽善行為を続ける消費者ネットおかやまの社会的責任を追及してゆく所存です」

【石川太郎】

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