民間で事前確認 制度化へ
消費者庁 届出の即日公表めざし
21日に催された業界団体主催オンライン講演会で、機能性表示食品の届出確認に民間の力を活用したい考えを述べていた消費省庁の伊藤明子長官は、26日の定例会見で同庁食品表示企画課が担当する届出確認業務のひっ迫状況を改めて伝え、中立性を確保した民間による届出事前確認の制度化を急ぐ考えを示した。
既存の枠組みよりも踏み込んだ民間での事前確認の仕組みを回すことで、不備のある届出資料が提出されるケースを減らす。これにより同庁での届出確認期間の短縮化につなげ、最終的には「ゼロ日」をめざす。
「あくまでも届出を受けるのは消費者庁」。
記者の質問に答える形で伊藤長官は会見でこう述べ、事前確認を行う民間は、行政の管理・監督下に置く方向で検討していることを示唆した。「(届出確認業務を)民間にまるっと委託するような考えはない」。
消費者庁は昨夏、届出確認の効率化を目的に、民間による届出事前確認の仕組みを導入していた。
「ガイドラインに則した事前確認を適切に実施できる体制が構築されていることを消費者庁が確認した団体」として現在、日本健康・栄養食品協会と日本抗加齢協会の2団体が事前確認に対応している。同庁では、両団体の事前確認を経た届出に関しては原則、届出資料が提出された日から30日を超えない範囲で公表、不備があれば差し戻すことにしている。
ただ、この日の会見で伊藤長官は、現行の民間での事前確認について、「制度的にきちっと整理されている状況ではなく、試行的にやっているというふうに私どもとしては考えている」との認識を示した。
その上で、「それを本格的に、きちっとした形でやりたい」とし、民間による届出事前確認を制度化する必要性に言及。制度に紐づけられた民間が届出の事前確認を行う仕組みを構築できれば、事前確認を利用する事業者が増え、不備のある届出資料が減り、同庁での届出確認期間を現行の30日からさらに短縮できると見る。最終的には「ゼロ日」を目指すと伊藤長官は述べた。
民間での事前確認の本格化に向けた今後のスケジュールについては、「現段階では確定的にいつまでと言える状況ではない」として明らかにしなかった。事前確認を行う民間の位置づけや体制の他、事前確認の進め方などを「整理する必要がある」。しかし、足もとのひっ迫状況の解消を図らなければ「確認の期間が延びる」とした上で、「それは行政にとっても事業者にとっても良くない状況ではないか」と指摘。「できるだけ早い時期にやりたい」と述べた。
【石川太郎】
(写真:会見を行う消費者庁の伊藤長官。26日撮影)
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