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届出増える血管ケア、市場形成進む? 柔軟性・しなやかさ維持、サプリ専業から飲料大手まで

 加齢によって低下する血管の柔軟性・しなやかさの維持に役立つ働き訴求する「血管ケア」機能性表示食品の届出が増えている。届出第1号の公開は2020年末。以降、現在までに積み上がった届出はおよそ40件に上る(11月25日現在)。食品・飲料メーカー大手も届出を行い、販売を進めている。血管の健康をめぐる新たなヘルスケア食品市場の形成が、サプリメントから一般食品まで横断するかたちで始まりつつあるようだ。

第1号届出公開から2年足らずで40件

 「加齢とともに低下する血管の柔軟性(血管を締め付けた後の血管の拡張度)維持に役立つ」。こうした働きを訴求する機能性表示食品の届出が初めて公開されたのは2020年12月下旬。松樹皮抽出物に含まれるプロシアニジンB1・B3を機能性関与成分にしたもので、届け出たのは健康食品受託開発・製造大手の㈱東洋新薬だった。

 それ以前にも血管に対する働きを表示する機能性表示食品はいくつか届け出されていた。しかしそれらは高めの血圧を下げるなど、血圧に及ぼす機能のメカニズム(作用機序)として血管への働きを説明するもの。加齢によって低下する血管の柔軟性やしなやかさの維持といった、血管に対する直接的なヘルスクレームを行う届出はそれまでなく、機能性表示食品のヘルスクレームの範囲を広げる革新的なものだったと言える。

原材料事業者が対応、機能性関与成分も増える

 第1号届出が公開された後、同様のヘルスクレームを行う届出が、松樹皮由来プロシアニジンB1・B3の他にも機能性関与成分を広げながら増えていった。プロシアニジンB1・B3に続いて21年春に届け出された機能性関与成分は、ここにきて届出が増えているカツオ由来エラスチンペプチド。以降も、アサヒグループの独自素材、ラクトトリペプチド(VPP、IPP)、フジッコ㈱が開発した黒大豆ポリフェノールなどの届出が続いた。

 血管ケア領域におけるカツオ由来エラスチンペプチドの第1号届出を行ったのは、カツオの動脈球から得たタンパク質の一種、エラスチン(ペプチド)を含む原材料「カツオエラスチン」の研究開発、製造・販売を手がける林兼産業㈱。機能性表示食品において同原材料は、まずはひざ関節ケアの機能性関与成分として届出が始まった後、第2弾機能として血管ケアが追加された。その後、肌の健康維持(弾力、うるおい)が加わり、現在までに3種のヘルスクレームで届出が進んでいる。

 カツオ由来エラスチンペプチドは、林兼産業が届出サポートを手がけるかたちで、これまでに30件が届け出されている。うち、20件超が血管に対する働きを訴求するもので、血管ケア領域の届出全体のおよそ半数を占める。背景には、1日あたり必要摂取量が75ミリグラム程度と少量で済むため、ほかの機能性関与成分をと組み合わせた商品設計を行いやすいことがあると見られている。実際、GABAなどと組み合わせて「血管+高め血圧ケア」のダブルヘルスクレームを行う届出も増えている。

 また、「魚臭を脱臭処理で除去してあるため気になるような風味がない。水溶性にも優れている」ことも強みだと同社は言う。食品の種類を問わずに配合可能できる、としている。確かに、錠剤を中心としたサプリメント形状以外に、青汁での届出も見られている。

販売開始も順次 サントリー、アサヒ、キューサイなどが市場投入

 血管ケア領域の機能性表示食品は、20年末に初の届出が公開されて以来、現在までにおよそ40件が届け出された。販売も順次始まっている。

 食品、飲料の大手も販売を開始しており、サントリー食品インターナショナル㈱では、悪玉(LDL)コレステロール低下と血管のしなやかさ維持を同時に訴求する『伊右衛門』ブランドの緑茶の届出を行い、販売を開始。機能性関与成分はプロシアニジンB1、B3だ。また、アサヒ飲料㈱とアサヒグループ食品㈱のグループ2社は、ラクトトリペプチド(VPP、IPP)を機能性関与成分にした『アミール』ブランドの清涼飲料水、『しなやかケア』を商品名にしたサプリメントの販売をそれぞれ進めている。

 全体としては、主としてサプリメント・健康食品市場に展開する通販企業などからの届出が目立ち、販売も順次始まっている。キューサイ㈱は今月1日に『血管ストレッチ』を新発売した。ほかにも、これまでに㈱インシップ、㈱オーガランド、㈱銀座・トマトなどが販売を始めた。

 血管ケア領域の機能性表示食品は、現時点で少なくとも10商品以上が流通しているとみられる。届出済みの事業者が販売を開始するのに合わせて、新たに届出を行う企業も増えていきそうだ。加齢とともに低下する血管の柔軟性やしなやかさを維持することは、心血管の健康を維持する観点からも重要といえる。林兼産業では、「届出を検討していたり、実際に準備を進めていたりする先も少なくない。年内にもう何件か公開されると思う」と話している。

【石川 太郎】

(冒頭の写真:左=キューサイが11月1日に発売した機能性表示食品『血管ストレッチ』。右=アサヒ飲料が9月に発売した同『アミールW』。それぞれニュースリリースから)

関連記事:アサヒグループ食品はサプリメントで展開
    :キューサイ、血管ケアに加えて血液ケアを提案

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