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届出事前確認制度、活用には課題も 【機能性表示食品特集】制度に関するアンケート結果公表(前)

 機能性表示食品制度の施行から7年半、「事後チェック指針」の運用開始から2年半が経過した。届出公表件数は5,600件を超え、その規模は年々拡大を続ける。消費者庁での届出確認期間を最終的に「ゼロ日」とすることを目的に、「民間団体等による届出事前確認」の制度化に着手した。この届出事前確認に対する各事業者の声を含め、機能性表示食品制度の事業への貢献具合などアンケートを実施した。業界120社に回答を求めた。有効回答数は73件、回収率は60%だった。

制度を評価する声が9割超 訴求ポイントを明確に伝えられる

 アンケートは、健康食品の原料メーカーや商社、OEMメーカー、食品CRO、販売企業、各種支援企業を対象に実施した。
 機能性表示食品制度に対する評価について聞いた。最も多かったのが「評価している」で73.7%、次いで「とても評価している」が21.1%。制度を評価する声が9割を超える結果となった。WNGが昨年3月に行ったアンケートでも85%が評価すると高かったが、引き続き同制度への評価の高さがうかがえる。
 その理由は、事業者側の意見として、「粗悪な健康食品の排除に寄与している」(通販事業者)、「ヘルスクレームを記載できるため、最終商品の効果効能を消費者に明確に伝えることができる」(原料メーカー)、「事業者が食品の安全性や機能性を科学的根拠を取りまとめて届出ることで、一定の基準で保障された食品が消費者へ提供されるため」(通販事業者)といった声が聞かれた。

消費者にとってもメリット 適切な商品選択につながる
 
 「消費者に対して、ある程度分かりやすい表現(訴求ポイント)を伝えることが可能になり、消費者にとっても、間違った商品選択(商品選び)の可能性が下がり、非常にメリットを享受できている」(原料メーカー)、「消費者が情報をもとに商品を選択できるようになった」(販売事業者)、「パッケージに表示された製品の機能性を参考にし、自分の健康状態に合わせて購入しやすくなった」(販売事業者)、「ヘルスクレームが消費者に伝わりやすい」(通販事業者)といった、消費者目線でのメリットを理由にする声も多く聞かれた。
 ある健康食品・健康器具を販売する事業者は、「機能性表示食品に対する消費者の理解と安心感が高まった。対面で説明しながらの販売スタイルだが、機能性表示食品を採用したことで、効果効能をはっきりと伝えることができるようになり、売上も伸びつつある」と制度に対する期待を込めて評価している。
 制度が始まり7年半が経過し、届出公表件数が増えていることから、1つの食品カテゴリーになりつつあることを評価の理由に挙げる声もあった。

商品開発の視点からも制度を評価 届出を前提とした提案が主流に

 コロナ禍の業態変更による新規参入や国民のヘルスメディケーションに対する意識の向上で、異業種からの健康食品市場への新規参入も継続している。その上で、はっきりと効果効能がうたえる機能性表示食品への期待値は高く、原料メーカーやOEMメーカーなど商品開発を支援する事業者には、届出を前提とした商品提案が求められている。
 ある原料メーカーは、「商品数が増えたことで、1つの食品カテゴリーとして確立された。エビデンスの取得が活性化し、商品開発における原料・素材の選定において、“エビデンスのある原料・素材”の優先順位が上がった」と話す。また、製造を請け負うあるOEMメーカーからは、「新規のヘルスクレームや既存のヘルスクレームにおいても、素材や成分、由来原料の違いによる届出が増えてきたことで、開発の幅が広がり、業界全体の活性化につながるのではないかと思う」といった商品開発の視点から制度を評価する声も聞かれた。また、海外にも広く展開するある原料メーカーは、「届出制度ではあるが、番号が付与されるため、海外から見た場合に製品の信頼度が高まる傾向にある」としている。

臨床試験の案件が増加 トクホからの切り替えも進む

 臨床試験を請け負う食品CROからは、「エビデンスに基づく機能性をうたうことで、消費者に正しい商品選択の機会を与えられる」、「食品マーケットの一定の拡大に貢献した」として制度を評価する声が多く聞かれる。また、これまで縁のなかった大手食品メーカーや通販会社との新たなつながり、リピート案件の増加にともない業績も向上。実際、依頼を受ける案件は、そのほとんどが機能性表示食品関連で、その件数は年々増加傾向にあるという。常に半年先・1年先の商談が進み、準備が整っているという声が多く聞かれた。
 また、特定保健用食品(トクホ)との違いを理由にする声もあった。ある大手OEMメーカーは「従来のトクホでは、開発要件が限定的で、また商品化まで時間がかかっていたが、機能性表示食品制度では事業者責任という視点で商品開発の幅が広がっている」と話す。販売する通販事業者からも、「トクホにするほどの予算や時間が無い企業にとって、健康食品で曖昧に表現してきた効果をはっきり記載できるようになり、消費者にとってもわかりやすくなった」といった声も聞かれた。さらに、「トクホに代わり、機能性表示食品の認知度が拡大しつつある。中小企業も参入しやすいことから、経済活性化の役割を担っている」(OEMメーカー)といった声も。

(つづく) 
【藤田 勇一】

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