業績への貢献度は依然高い　今後にさらに期待する声も

　機能性表示食品制度の業績への貢献度について聞いた。昨年11月に実施したアンケートでは、「とても貢献している」が10％で、「貢献している」とあわせて51％という結果だったが、今回、「とても貢献している」が26.3％、「貢献している」が60.5％、合わせて86.8％が貢献しているとした。OEMメーカーや食品CROからは、相変わらずその貢献度の高さがうかがえたが、今回のアンケートでは、これまで貢献度が低いとしてきた通販事業者からも、貢献度が高まってきているという声が聞かれた。
　実際、コールセンターを使い電話による販売を中心に行うある通販事業者は、「以前は、機能性表示食品と言っても、消費者があまり反応を示さなかったが、ここにきて消費者に浸透してきているように感じる。消費者からの機能性表示食品に対する質問も来るようになった。機能をはっきりと伝えることができるため、機能性表示食品以外の商品と比較してもより販売しやすくなった」と話す。機能性表示食品制度の認知度向上が、業績への貢献度を上げているようだ。
　また、化粧品や医薬品を中心に商品開発を支援してきた事業者が、拡大を続ける機能性表示食品市場に参入する、あるいはその準備を進めるなど、新規参入の事業者も含めて、「今のところ貢献していないが、今後、貢献する可能性ある」が13.2％となり、今後への期待値も高くなってきている。

約7割が制度に対して何らかの不満　新規届出のハードルの高さにも不満

　機能性表示食品制度を評価する声や業績への貢献の高さを歓迎する声が多い一方で、制度を評価しないという声もある。ある原料メーカーは、「販売者なのか消費者なのか、いったい誰のための制度なのか分かりづらい」として、制度を評価しないと回答した。
　現行の機能性表示食品制度に不満を感じているかどうか聞いた。「やや不満を感じている」が52.6％と最も多く、次いで「不満を感じている」が23.7％となり、約7割が何らかの不満を感じているという結果となった。その理由として複数回答を求めたところ、「届出資料の提出から公開まで時間が長い」が最も多く59.3％、次いで「届出ガイドラインが毎年のように改訂される」が51.9％、「新規のヘルスクレームや機能性関与成分の届出を通すのが難しい」が48.1％だった。
　「届出実績のあるヘルスクレームを届け出ている一方で、差し戻されるケースがある」が40.7％となったが、これには、「客観性に欠ける。届出者によってばらつきがある」（食品CRO）、「同じ研究レビューに対応して、指摘の一貫性を持つようにお願いしたい」（販売事業者）という声も聞かれた。これに関連して少数意見ではあるが、「消費者庁の担当者異動の時期になると、これまでには無かった不備指摘が増える」（OEMメーカー）、「ガイドラインの改訂が無くても差し戻しの内容が変動しているため、対応が難しくなった」（通販事業者）など、行政への意見も聞かれた。
　また、「企業責任ではなく、実質審査になっていると感じる。企業責任というスタンスを守り、形式チェックのみで届出公表してほしい」（大手OEMメーカー）、「同制度はあくまでも企業側の責任で届出を行うとしているにもかかわらず、現状ではトクホ同様、申請・許可に近い運用となっている」（大手食品メーカー）と指摘する声も前回のアンケート同様見られた。

届出から公表までにタイムラグ　時間短縮のための対策を求める

　約6割が不満の理由にしていた「届出資料の提出から公開までの時間の長さ」に関連して、「不備指摘がある場合、その詳細を速やかに事業者に連絡し、修正の時間短縮を可能にしてほしい」（通販事業者）、「少しの変更でも変更届となると戻しに時間がかかる。表示見本の微修正は簡略化できないか」（OEMメーカー）といった声が依然としてある。
　そのための対策として、「届出の確認を迅速に、差し戻しの内容を分かりやすく丁寧にしてもらいたい」（通販事業者）、「届出後、公表予定日や進捗状況が分かる仕組みにしてほしい」（販売事業者）といった声も。また、「変更届の確認に1カ月以上かかるなど、長時間にわたるケースがある。変更届は販売中の商品が多く、新規以上に時間の短縮が必要で、現状では事業活動にも影響を及ぼしかねない」（大手食品メーカー）とする声も聞かれた。届出公表までの時間が原因で、届出自体を取りやめる事態も依然として発生しているようだ。
　
（つづく）　
【藤田　勇一】

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