小野薬品がサプリ発売
睡眠ケアの機能性表示食品 今日から通販で
製薬メーカーの小野薬品工業㈱(大阪市中央区、相良暁社長)がサプリメント市場に参入する。昨年2月に設立していた100%子会社の小野薬品ヘルスケア㈱(同、野田康成社長)を通じ、機能性表示食品のサプリメントの販売をきょう(14日)から始める。訴求する機能は睡眠ケア。深睡眠およびレム睡眠の割合を増加させるという、これまでの睡眠ケア領域の機能性表示食品になかった機能を訴求する。
ヘルスケア市場に参入 初のB to C事業
医療用を中心に医薬品事業を展開する小野薬品グループとして初めてB to C事業に乗り出すことになる。小野薬品工業と小野薬品ヘルスケアが14日午前、正式に発表した。同日から機能性表示食品のサプリメント『REMWELL(レムウェル)』を新発売する。同時に、女優の中村ゆりさんを起用した同商品のテレビCMの放映も始める。
販売方法としては、通信販売を選んだ。小野薬品ヘルスケアの公式オンラインショップをはじめ、AmazonなどのECモールで販売する。価格は、パウチ180粒(30日分)入りで7,012円(税込)とやや高価格帯の設定になっている。
脂質研究の知見、サプリに応用
レムウェルは、小野薬品ヘルスケアが立ち上げたサプリメントブランド『LipidSupply(リビドサプリ)』の第1弾製品となる。同ブランドは、「厳選された天然由来の素材から抽出した高品質な機能性脂質を用いたサプリメントブランド」(小野薬品ヘルスケア)。小野薬品工業が医薬品の研究開発で培った脂質研究に関する知見をサプリメントに応用する。
レムウェルにも脂質研究の知見を反映した。同商品の機能性関与成分は、DHA、EPA、DAGE(ジアシルグリセリルエーテル)の3つ。いずれも脂質で、それぞれDHA・EPA・リン脂質含有イクラオイル、DAGE含有精製深海サメ肝油に含まれる。機能性食品素材の製造販売も手掛ける水産大手のマルハニチロ㈱(東京都江東区、池見賢社長)と共同開発したもの。小野薬品工業は先月24日、同社と機能性表示食品の商品開発で協業していくことを発表していた。
小野薬品工業は2019年、マルハニチロから提供を受けた水産物由来の機能性素材を使用した機能性脂質製品を開発。その後2つの臨床試験を実施し、同脂質製品の有用性が証明されたことを受け、サプリメント事業発足に向けて動き出すことになったという。
ヘルスクレームにはメンタルケア機能も
小野薬品ヘルスケアとしての第1弾商品にもなるレムウェルは、新型コロナ禍も受けて消費者ニーズが高まった睡眠ケアの市場に投入する。
同社が同商品について消費者庁に届け出たヘルスクレームは、「一時的に睡眠に不満を感じている健康な方の深睡眠とレム睡眠の割合を増加させることで、睡眠の質を向上させる機能があります。さらに、一時的に活気・活力が低下している方の不安感・緊張感・気分の落ち込みを和らげ、一時的な活気・活力の向上と日中の眠気の軽減に役立ちます」。睡眠ケア機能に合わせてメンタルケア機能も訴求するかたちだ。
国内製薬業界で第10位 オプジーボで知られる新薬メーカー
小野薬品工業は昨年2月、「超高齢社会の進展に伴う社会問題の開発に貢献するために、ヘルスケア分野におけるソリューション事業に取り組むことを決定」したとして小野薬品ヘルスケアの設立を発表。同社を通じて健康食品・機能性表示食品事業を新たに展開していく方針を明らかにしていた。
同社の前期(2021年3月期)連結業績は売上高が約3,093億円。国内製薬業界で第10位とみられている。主要製品としては、抗悪性腫瘍剤の『オプジーボ』や、2型糖尿病治療剤の『グラクティブ』などが知られる。
【石川太郎】