小林製薬、品質管理めぐり共同研究 東大・藤田誠教授開発の結晶スポンジ法に着目
サプリメントの原材料の品質管理に起因すると推定される健康被害問題を起こした小林製薬㈱(大阪市中央区、山根聡社長)が、食品の異物分析技術と品質管理に関する共同研究を今月から開始した。
東京大学の社会連携講座「統合分子構造解析講座」に参画するかたちで始めたもので、同講座を担当する藤田誠・同大卓越教授が開発した微量成分の化学構造を速やかに解析する技術「結晶スポンジ法」を食品の異物分析に応用することで、想定していない成分の構造を迅速に分析する方法の確立を目指す。同社が10日、発表した。
発表によると、研究では、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などを使った一般的な成分分析手法と、微量成分の化学構造を結晶化することなく迅速に解析できる結晶スポンジ法を組み合わせることで、検出された想定していない成分の構造決定までを迅速に行えるようにする、従来にない食品成分分析技術の開発を目指す。
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この技術を実用化できれば、食品の品質管理の精度を高めることが期待できるという。同社は発表で、「原料と出荷前製品に想定していない成分が検出された場合でも、その化学構造を速やかに特定し、既知の成分情報やデータベースと照合することにより、その成分の安全性を客観的かつ迅速に確認でき、品質管理や原因調査に役立てられると考えている」とした。
また、共同研究で得られた成果については、「当社のみで保有するのではなく、学会発表や業界活動を通じて広く公開し、社会に還元していく」としている。
【石川太郎】
(文中の画像:研究を進める分析技術に関するイメージ図。報道発表資料から)
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