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小林問題から法改正へ、森田氏講演 「紅麹サプリ」事件の経緯、法改正のポイントを解説

 紅麹サプリメント事件で機能性表示食品制度はどう変わっていくのか? (一社)全国消費者団体連絡会(東京都千代田区、郷野智砂子事務局長)はきのう25日、(一社)Food Communication Compass(フーコム)代表の森田満樹氏を講師に迎えてオンライン学習会を開催した。参加者は100人を超えた。

 フーコムは2011年に「科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体」として設立。全国消団連にも所属している。また同氏は、政府の諮問を受けて食品表示基準の改正案について議論した消費者委員会・食品表示部会の委員も務めた。

 森田氏はまず、小林製薬の紅麹サプリをめぐる事故の経緯、それを受けた政府の対応について振り返った後、機能性表示食品の制度改正のポイントについて詳しく説明した。講演の最後に同氏は、食品表示基準や食品衛生法施行規則の一部改正について、政府が募集しているパブリックコメントに意見を提出するよう参加者に呼び掛けた。

法改正のポイントと課題を解説

 講演では、小林製薬の「紅麹サプリ」による健康被害は、これまでに類を見ないほど大きな事故であること。国による原因究明と対策の過程で、厚生労働省と消費者庁がそれぞれ、食品衛生法や食品表示法の改正を視野に入れて対策を講じることになったことなどを時系列に説明した。
 また、弁護士らが組織した事実検証委員会が作成した「調査報告書」にも言及。「食品安全の理解不足、健康被害情報の判断ミス、ずさんな製造管理、ガバナンスの機能不全などを指摘しているものの、6月末までの健康被害情報の過少報告については触れていない」点を指摘した。

 法改正のポイントとして、健康被害情報の提供の義務化、サプリメント形状の機能性表示食品におけるGMP(適正製造規範)の要件化、機能性の新規関与成分における120日ルールの新設、パッケージ表示の改善などを挙げた。

 他方、「一般向け公開情報の分かりにくさ」、「食経験の安全性評価のあり方」、「原材料における安全性自主点検の規制のあり方」、「健康被害情報報告の実効性」などを今後の課題として挙げた。

パブコメへの意見提出を呼び掛け

 講演の最後に森田氏は、きょう26日まで募集が行われている「食品表示基準の一部改正」に関するパブコメ「食品衛生法施行規則の一部改正」に関するパブコメに多くの消費者が意見を寄せるよう呼びかけた。

 「機能性表示食品にはトクホ並みのエビデンスを求める」、「その他いわゆる健康食品、他食品全般でも、健康被害が確認されたら製造上の責任であり、届け出義務も必要」、「自由と自己責任の機能性表示食品制度は、基本的には良い制度」など、視聴者からは多くの質問や意見が寄せられた。その中で、「紅麹そのものや、機能性表示食品全てが問題であるかのような報道が目につきます。ネット記事やコラムなども含め、正確な情報提供を望みます」との意見に対し、同氏はメディア報道のあり方について見解を示した。

メディア報道のあり方に言及

 「この問題を受けて最初の1~2週間、テレビの取材などを受けた」と前置きし、あるテレビ局などが紅麹サプリの問題について、「当時の安倍政権が作ったとんでもない制度のせい」という点ばかりをクローズアップし、制度全体の問題や表示が抱える問題点を話しても、「安倍政権はけしからん」的な切り取り方をされたという。そのような風潮が強かったため、その後、森田氏はテレビの取材を控えたと述べた。小林製薬の紅麹サプリが問題であるにもかかわらず、紅麹が全てダメじゃないかみたいな観点で話す関係者もいるとし、「誤解がないように情報発信しなければならないと思った。これからもそういうふうな情報提供をしていきたいと思う」と述べた。

【田代 宏】

(冒頭の写真:(右)森田 満樹 氏)

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