天然物原材料の同等性・同質性評価 アリメント工業R&Dセンターが新手法開発
サプリメントや健康食品の受託開発・製造を行うアリメント工業㈱(山梨県南巨摩郡)で研究開発を担当するR&Dセンター(静岡県富士市)が、製品に使用する植物エキスなど天然物原材料の同等性・同質性の評価方法について、新たな手法を開発した。粒子画像分析装置を用い、原材料中の粒子の物性情報と化学情報を総合的に解析することで、同等性・同質性が確保された適正な原材料かどうかを簡便に確認できるようにした。「本来含まれない成分が含まれているかどうかも分析できる可能性がある」という。今後、天然物原材料の品質を評価するための方法の1つとして、同社で受託する製品の製造現場に導入していきたい考えだ。
物性評価と化学情報から総合的に解析
サプリメントなどに用いる天然物原材料の同等性・同質性確認は、機能性表示食品のサプリメントに生じた健康被害問題(紅麹関連製品事案、2024年)で必要性が強く指摘されるようになった。国も対応に動き、サプリメント形状の機能性表示食品および特定保健用食品の製造・品質管理におけるGMP基準の遵守を実質的に義務化した他、微生物等に関連する原材料を使用するサプリメント形状の加工食品全般について、その同等性・同質性を確認するための規格の設定と、工場受け入れ時の確認試験の実施を事業者に求めている。
同センターが開発した天然物原材料の同等性・同質性評価方法では、「モフォロギ4-ID」と呼ばれる粒子画像分析装置を利用する。この装置は、粒子画像から粒子形状などを取得することで、粒子1粒ごとの物性情報を得ることができる。それと同時に、ラマン分光システムが搭載されているため、粒子の化学情報も取得できる。もともとこの装置の主な用途は、医薬品の生物学的同等性評価や品質管理など。同センターでは、天然物原材料の同等性・同質性評価にも応用できると見て、同装置を導入し、評価法の検討を進めていた。
この天然物原材料の同等性・同質性評価方法について同センターは、「要は、(特に天然物原材料に関して)必要性が言われているパターン分析(原材料全体のプロファイルを検証する手法)を行うのと同じ。定量・定性分析だけでは捉えられないことが分かる」(下川義之センター長)と話す。現在までに、評価方法はおおよそ確立できたという。
名称が同じ原材料でも、製造ロット毎にバラつきがあったり、製造元や製造方法が異なる場合は成分組成が異なっていたりすることがある。そうした違いは原材料の外観からは通常分からないが、同センターが開発した同等性・同質性評価方法では、10分程度の解析時間で差異を判別できるという。「液クロ(高速液体クロマトグラフィ)で分析する場合は前処理などが必要だが、それも不要」(同)。

同センターの食品科学研究室によると、実際にこの評価方法を利用して原材料Aと原材料B(どちらも同じ名称で流通されている、かつ、外観が同じ天然物原材料)を比較したところ、粒度分布やアスペクト比といった物性評価で顕著な差異が見られるとともに、粒子画像からも明らかな違いが見られた。
また、化学情報を得るためのラマンスペクトル評価によってフィッティング率(スペクトルとの一致度)を算出したところ、片方の原材料に含まれる粒子の約半数が低い値を示した。そこで、フィッティング率の低い粒子の実態を調べたところ、立体異性体であることが分かり、その原材料の規格と厳密には異なっていた。こうした解析結果を総合的に踏まえ、「原材料Aと原材料Bは異なる原材料であるとみなした」という。
同センターは昨年9月、新たに考案した同等性・同質性評価方法を、北海道で開催された日本分析化学会第74年会で発表した。薬物の分析・解析を行う化学者からも関心が寄せられたという。
【石川太郎】
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