大麻規制検討小委員会、第3回会合開く これまでの議論振り返り 来月にも取りまとめへ
大麻取締法等の改正に向けた議論を進めている厚生労働省の「大麻規制検討小委員会」(座長:合田幸広・国立医薬食品衛生研究所長)は7月29日、3回目の会合を開き、過去2回の議論の振り返りを行った。これまでに議論してきた、厚労省が提示した大きく4つの論点、それに基づく法改正に向けた方向性に対し、有識者で構成される委員は大きな異論を挟まず、概ね了承するかたちになった。引き続き方向性について議論を進め、9月にも中間とりまとめを行う。
THC残留限度値超える製品の流通防止で監視指導徹底へ
大麻取締法等の改正に向けた主な論点は、第1に医療ニーズへの対応、第2に薬物乱用への対応、第3に大麻の適切な利用の推進、第4に適切な栽培および管理の徹底。このうち大麻の適切な利用の推進では、「(幻覚作用のあるTHC=テトラヒドロカンナビノール=を中心とした)成分規制の導入等により、神事を始め、伝統的な利用に加え、規制対象ではないCBD(カンナビジオール)を利用した製品等、新たな産業利用を進め健全な市場形成を図っていく基盤を構築していく必要がある」とする方向性が示されている。
この日の会合で厚労省監視指導・麻薬対策課は、大麻の適切な利用の推進にかかわる見直しの考え方・方向性について、前回会合での議論を踏まえた案を提示。前回会合で提示していた案の他に、THC残留限度値を超える大麻由来製品が「野放し」になることを防ぐため、買上調査を含めた行政による監視指導を行うべきであること、限度値を超える製品は「麻薬」として扱われることになり、所持・使用、譲渡など禁止される──などといった考え方を示した。
また、前回会合で専門家から報告された、CBDは一定の加工を加えることで一部がTHCに変換するという知見を踏まえ、現行法においても無免許で麻薬を製造する行為は麻薬製造罪違反に当たると釘を刺した上で、そうした行為の規制に必要な対応を検討していく方向性を提示した。
残された会合はわずか 残留濃度値など具体に関する検討あるか
厚労省では、大麻取締法等の改正を通じ、大麻にかかわる法規制の体系を、従来の部位規制からTHCを中心にした成分規制に変更する方針。それに合わせ、CBDオイルなど大麻由来製品に含まれるTHCの残留限度値を「法令上」設定し明確化すること、限度値に適合しているかどうかの担保は事業者責任を基本とすること、そのために必要な試験方法も統一的に示すこと──などといった方向性を前回会合で提示していた。
小委員会の会合は残り2回、多くても3回とみられる。来月中にも中間とりまとめを行うためだ。残された今後の会合で、THC残留限度値やその試験方法、事業責任を基本とする制度の仕組みなどといった具体にまで議論が及ぶのかどうか。「大枠はおおよそ見えてきた。しかし、現段階では具体的な部分がほとんど分からない」とCBD製品の輸入販売を手掛ける事業者は指摘。「引き続き今後の議論の行方を見守る必要がある」と話している。
【石川 太郎】
(冒頭の画像:第3回会合、配布資料の一部。CBDおよびCBD製品を巡る現状と課題を厚労省が提示)