大麦若葉末のカルシウム吸収促進作用を確認
㈱東洋新薬(福岡市博多区、服部利光社長)は「大麦若葉末のカルシウム吸収促進作用」を動物試験で検証した。その結果、大麦若葉末を継続的に摂取することで、下部消化管における食事由来のカルシウムの吸収性が向上する可能性が示唆された。研究成果は「日本未病システム学会雑誌」 20(1) に掲載された。
<血中濃度曲線下面積(AUC)を算出>
【目的】
大麦若葉末は、イネ科オオムギの出穂前の茎葉部を乾燥、微粉砕加工した淡緑~濃緑色の粉末。癖のない味わいから主に青汁の原料として利用されており、現在流通している青汁原料の約7割が大麦若葉といわれるほど広く普及している。食物繊維が豊富であることに加え、βカロテンやビタミンC、葉酸などのビタミン類、鉄やカルシウム(Ca)等のミネラル類を含んでいることが特徴で、最近では青汁だけでなく一般食品への利用も注目されている。大麦若葉末の機能性に関しては、便通改善作用や食後血糖値上昇抑制作用、美肌作用、腸内細菌叢改善作用等が確認されている。本研究では、大麦若葉末のCa吸収促進作用について検討した。
【方法】
7週齢の雄性Wistarラット12匹を、高脂肪食+大麦若葉末(食物繊維として5%)含有食摂取群(大麦若葉末群)と高脂肪食+無繊維食摂取群(対照群)の2群に分け、各飼料を28日間自由摂取させた。摂取終了翌日に絶食下にて乳酸Ca 200mg/kgを強制経口投与した。投与0時間(乳酸Ca投与前)、0.5、1、2、3、5時間後に採血し、血清Ca濃度を測定した。各測定ポイントにおける変化量(⊿)を算出し、この変化量を用い、血中濃度曲線下面積(AUC)を算出した。
<腸内pH低下により下部消化管からの吸収を促進>
【結果・考察】
⊿血清Ca濃度は、いずれの群も乳酸カルシウム投与2時間後でピーク値に達し、投与5時間後には乳酸カルシウム投与前の値まで戻った。大麦若葉末群において、投与2時間後の⊿血清Ca濃度が対照群と比較して有意に高値(p<0.05)を示した(図1)。また、投与前から2時間後までの⊿AUCにおいても高値を示した。投与前から投与0.5時間後の⊿AUC(⊿AUC0-0.5h)と、投与0.5時間後から2時間後までの⊿AUC(⊿AUC0.5-2h)についてそれぞれ層別解析を行った結果、後者でのみ対照群と比較して高値傾向(p<0.10)を示した(図2)。
食事由来のCaは、上部消化管におけるビタミンD依存性の能動輸送と、大腸を含む下部消化管からの受動輸送によって吸収される。下部消化管からの吸収では、腸内pHの上昇に伴うCaの不溶化がCaの吸収性を低下させることが知られている。大麦若葉末は、マウスにおいて腸内の有機酸量を増加させ、腸内pHを有意に低下させることが確認されている。また、本試験において⊿AUC0.5-2hでのみ高値傾向が認められた。 ⊿AUC0-0.5hは上部消化管からのCa吸収の指標として、⊿AUC0.5-2hでは下部消化管からのCa吸収指標として判断することができる。これらの結果から、大麦若葉末のCa吸収促進が下部消化管において作用していると考えられる。
以上より、大麦若葉末を継続的に摂取することでCaの吸収が促進され、それは特に下部消化管における作用である可能性が示唆された。
論文名:大麦若葉末摂取によるカルシウム吸収性の向上 日本未病システム学会雑誌 20(1): 41-44, 2014.
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