大幸薬品がオンライン決算説明会
21年12月期売上高112億9,900万円 前期比52.4%
大幸薬品㈱(大阪府吹田市、柴田高社長)は22日、2021年12月期の連結決算報告会をオンラインで開催した。同社の事業は、瀉薬『正露丸』を柱とした医薬品事業と空間除菌剤『クレベリン』を柱とした感染管理事業で構成されている。今期はクレベリン事業の不振により、売上高は前期215億8,000万円に対してマイナス102億8,100万円の112億9,900万円(前期比52.4%)と大きく落ち込んだ。
茨木工場は昨年4月から稼働停止
販売費および一般管理費については、76億9,400万円と前年同期と比較して13億6,600万円のマイナス計上、率にして15.1%減少した。この結果、営業利益は前年同期比111億4,600万円減少し、49億4,700万円の営業損失を出した。
営業外費用については、在庫調整のため茨木工場の操業を昨年4月から停止。この間、工場で発生する費用を操業停止関連費用として営業外費用で計上したため、経常損益はさらに悪化。前年同期比で120億8,200万円減少し、61億3,100万円の経常損失を出した。
競合社増 ウイルス市場縮小
前年同期は過去最高の売上・利益を計上したものの、一転して巨額の損失を計上した。その理由について同社は、感染管理事業の売上高減少を第一に挙げた。
新型コロナウイルスの流行に合わせて、「欠品は許さない」との柴田社長の号令一下、2020年に前年比で約10倍の生産能力を持つとされる茨木工場を建設した。ところが、競合品の増加、ウイルス除去市場の縮小などの影響をまともに受け、同社の21年下半期の感染管理事業のシェアは20年に比べて約4割減少した。営業利益はマイナス80億円と、全体の7割を占めている。
「クレベリン」返品分 6億5,000万見込む
セグメント別では、クレベリンを中心とする感染管理事業の売上高は前年同期に比べて59.7%減少し、69億4,200万円を計上した。
同社の本間豪執行役員は、「感染管理事業の製品は、新型コロナウイルスの拡大時において、供給が困難になるほどの需要が発生したが、当期において、その反動は想定よりも遥かに大きいものとなった」と想定外の事態に言及した。「売上高が大幅に減少した一方、生産体制や販売体制強化によりコストは上昇しており、さらに過剰となった棚卸資産の処分、消費者庁の措置命令による返品調整引当金の繰入などが相まって、セグメント利益は前年同期に比べ116億3,000万円減少し、49億3,600万円のセグメント損失となった」と説明した。
今年1月20日、同社の「クレベリン」シリーズ4品目が消費者庁から措置命令を受けた。全体の売上構成に占める4商品の割合は約5.9%。措置命令に伴い、同社は約6億5,000万円相当の返品を見込んでいる。
クレベリン置き型は健闘
製品カテゴリー別の売上高は、クレベリン「置き型」や「スティックタイプ」を中心としたクレベリンシリーズが前年同期比58.5%減少の62億4,200万円。「ハンドジェル」、「ハンドスプレー」、「マスク」などの衛生管理製品、「クレベ&アンド」が前年同期比68%減の6億9,900万円と共に大幅に売上を落としている。
クレベリンに関しては、「――置き型」がシェア8割程度をキープと健闘しているのに対し、「――携帯型」、特に「――スプレータイプ」といった噴霧型のシェア低下が顕著。噴霧型については、「消費者庁の措置命令の対象となっている。今後、いかにしてシェア回復を遂げていくかが重要と考えている」(同)と述べた。
続いて、同社代表取締役社長の柴田高氏が「当期の振り返り」として、20年の最高益更新から21年過去最大の赤字を作った要因と、今後の対策について説明した。クレベリン訴訟についても言及した。
(つづく)
【田代 宏】
(冒頭の写真:右から柴田高社長と本間豪執行役員)
大幸薬品IR情報
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