地理的表示法違反、染井商店に措置命令 「岩手切炭」と誤認させる不正表示
農林水産省は16日、㈲染井商店(埼玉県草加市、染井直人社長)に対し、「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(以下、地理的表示法)第5条の規定に基づき、措置命令を行ったと発表した。地理的表示法違反に基づく措置命令は、一昨年12月に起きた「但馬牛」に続いて今回が2件目。
染井商店は、1955年に燃料問屋として創業。薪、木炭、石炭、練炭の販売の他、プロパンガスや灯油などの燃料業務関連サービスを展開している。
農水省によれば、同社が出店しているECサイトの商品ページにおいて昨年3月~4月にかけて、地理的表示に登録されていない木炭であるにもかかわらず、「岩手切炭と同等の炭をお手軽にということで製作いたしました」と表示。また、同サイトの商品ページにおいて同12月、「岩手切炭」および「岩手系木炭」と表示していた。
これらの表示は、地理的表示法3条2項に違反する不正な表示に当たるとし、農林水産省は同法5条に基づき、地理的表示の除去・抹消、原因の究明・分析の徹底、再発防止策の実施等について措置を命じた。
染井社長は取材に対し、地理的表示について「知っていたが不勉強だった」と説明。どこからどこまでの範囲が地理的表示に当たるかなどの詳細について不知だったとしている。「行政指導を受けた経緯と対応については、これから公式サイトで紹介する。防止策など従業員にも周知徹底する」と反省している。
【田代 宏】
岩手木炭・切炭の登録公示情報(農水省HPより)
(冒頭の写真はイメージ)