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国民のヘルスリテラシースキル向上を 生協総合研究所、食生活の健康格差に関する公開研究会開催

 (公財) 生協総合研究所(中嶋康博代表理事)は28日、「健康になれる社会のしくみづくり」をテーマにした公開研究会をオンラインで開催した。人生100年時代における健康づくりに関して問題提起を行う5回目の研究発表で、聖路加国際大学大学院の中山和弘教授、新潟県立大学の村山伸子教授が講演を行った。

 「ヘルスリテラシーのある社会づくりに向けて」を演題にした中山氏は、ヘルスリテラシーの定義や日本と諸外国の国際間比較のデータなどを示しながら、日本が立ち遅れている現状を解説。「仮に自身の能力が低くてもわかりやすく説明してくれる医師がいるなど、環境面の充実があれば、相互作用としてヘルスリテラシーのレベルは上がる」とした。また、「治療の選択肢から自由に自己決定ができるほど、幸福感も高くなる。そのためにも、国民全員のヘルスリテラシースキルを上げることが大切」とした。

 新学習指導要領の保健分野では、小中高を通じて「課題を見付け、その解決に向けて思考し判断する」という項目が新設され、学校でスキルを身に着けられる環境となった。今後について中山氏は、「それでも1人でヘルスリテラシーを向上させるのは難しい。コミュニティ、サロン、ソーシャルメディアなど、人と人のコミュニケーションの場で互いに信頼しあって協力するような文化や風土を築き上げることが、健康で充実した生活につながる」と話した。

 村山氏は、子どもの健康格差と食生活にフォーカスした研究を発表した。低収入や1人親世帯などでは、子どもの健康格差、体験格差、学力格差が生じている。そうした社会的課題を挙げながら、食生活が子どもにどのような影響を及ぼしているかを明らかにした。

 新型コロナウイルス感染拡大による影響では、緊急事態宣言期間前後の肉・魚・卵・野菜を共に1日2回以上摂取している人の割合が低収入世帯で大きく減少したことから、「学校給食が無い日は、世帯収入による子どもの食事格差が大きい」と指摘した。その上で、「近年は、貧困家庭への対策・支援がかなり充実してきているが、次のフェーズで必要となるのは、より子どもにフォーカスした対策・支援」との認識を示した。

 現在は第3次食育推進計画により、中学校における学校給食の実施率が上がり、第4次(2021年~24年)では「子供の貧困対策に関する大綱」などに基づき、フードバンクなどと連携して子どもの食事・栄養状態の確保、食育の推進に関して、国が支援する体制となった。村山氏は講演のまとめとして、「今後も、行政と民間とで必要な子どもに支援が行き届くようにやっていくことが重要」と話した。

【堂上 昌幸】

冒頭の写真:中山和弘教授

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