国内CBD市場規模、21年185億円超 矢野経が調査22年259億円を見込む
日本国内のCBD(カンナビジオール)製品市場規模が185億円を超えたとする市場調査結果を㈱矢野経済研究所(東京都中野区)が取りまとめ、25日、公表した。
2021年の「小売金額ベース」市場規模を調べたもので、調査期間は今年3~6月。調査対象製品は、CBDオイル、サプリメント、グミなどといった食品を始め、ベイプ(電子タバコ)、化粧品など国内で流通しているCBD関連製品全般とした。
前年比は185.9%とほぼ倍増したとする。要因は、新型コロナ禍での健康意識の高まり。「健康維持、増進をサポートするだけでなく、精神的な落ち着きを求めて製品が使用されることも多く、急激な市場拡大につながった」と分析している。
その上で、22年の市場規模についてはさらに139.9%の伸びを示し、259億円超の規模が見込まれるとする。その後についても右肩上がりの拡大予測を提示している。
市場規模拡大予測の背景に政府方針
同社が右肩上がりの市場拡大を予測する背景には、政府の「骨太方針2022」(経済財政運営と改革の基本方針2022。6月に閣議決定)がある。同方針には、「大麻に関する制度を見直し、大麻由来医薬品の利用等に向けた必要な環境整備を進める」との方針が盛り込まれていることを理由に、「23年以降大手企業の参入も予測され、市場はさらに拡大していくものとみる」としている。
ただ、「23年以降大手企業の参入も予測」されるのは、骨太方針で示された「必要な環境整備」が「22年度中に実現」することが前提だ。同社では、それが実現すれば、「これまで参入のタイミングを見計らっていた食品、飲料、化粧品などの大手企業の参入が活発化」すると市場の将来を展望している。
【解説】
矢野経済研究所は、3年後、25年の国内CBD製品市場規模について、約829億円(小売金額ベース)に達すると予測している。21年比で4倍以上の規模に拡大するとの見立てだ。
予測通りとなるか 「必要な環境」の中身、注視する必要
同社の予測どおりに市場規模の拡大が進むかどうかは、「必要な環境整備」が実現する時期に左右されることになる。それが「22年度中に実現」しなければ、同社が指摘する「大手企業の参入が活発化」する時期もおのずと後ろ倒しとなろう。
必要な環境整備が22年度中に実現するかどうかは予断を許さない。
大麻取締法等の改正に向け、CBD製品も含めた「大麻の適切な利用の推進」を論点の1つに掲げるかたちで5月から議論が進められている厚生労働省「大麻規制検討小委員会」において、規制されるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の残留限度値、その限度値を担保する手段、そのために求められる統一的な試験方法、CBDの食薬区分における取り扱いなど、CBD関連製品の利用推進に求められる「環境整備」に必要な施策に関する具体的な議論は今のところ全く行われていないからだ。
国内CBD関連製品市場の「バラ色の未来」予測は、同小委員会の議論の帰結と大麻取締法の改正、施行のスケジュール、さらに改正法に関連する省令、告示などの発出時期、そして当然、それらの中身を確認してから行う必要があると思われる。
今後、THCという強い活性を持つ成分を厳密にコントロールする製造・品質管理が事業者に求められるようになることが予測される。とすれば、GMP(適正製造規範)が義務化されるようなことも起こり得るのではないか。国内CBD製品市場の右肩上がり成長は、そうした品質に関する要求に国内CBD業界が対応できるかどうかにかかっていそうだ。
【石川 太郎】
(冒頭の画像:矢野経済研究所のニュースリリースから)
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