国セン、相次ぎ注意喚起(後) THCHは「指定薬物です!」、含有商品の入手や使用「絶対やめて」
(独)国民生活センター(国セン、山田昭典理事長)は6日、「THCH」を含む商品に対する注意喚起も行った。「テトラヒドロカンナビヘキソール」を正式名称とするTHCHは、大麻草に含まれる化学物質、カンナビノイドの一種。幻覚作用があるため大麻取締法で規制されるTHC(テトラヒドロカンナビノール)と化学構造が似ていて、THCに類似の作用を持つとされる。そのため、先月、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく「指定薬物」に指定され、製造、輸入、販売、所持、使用などが原則、禁じられることになった。その中で国センは、THCHを含む食品などの商品を「絶対に」購入したり、使用したりしないよう、国民に強く呼びかけた。
THC類似成分、健康被害報告も
国センによると、指定薬物に指定される以前は、「THCH含有」をうたうグミやクッキー、カプセルのほか電子タバコのリキッドなどの商品が大手ECサイトなどでも販売されていたと言い、手軽に購入することも出来た。指定薬物の指定を受けて現在はそうした商品の販売は停止されているものの、未だ一部で販売されていたり、規制が一般消費者に周知されていなかったりする可能性を危惧し、規制されるカンナビノイドに対する注意喚起を初めて実施した格好だ。THCH以外にも、これまでにTHCP、HHC 、THCO、HHCOといったTHC類似作用を持つカンナビノイドを指定薬物に指定する省令が公布されている。
THCH含有食品を摂取した人の健康被害など危害情報も報告されているという。国センや消費者庁らが運用する医療機関ネットワークには、昨年8月から今年7月までの1年間で、2件の情報が寄せられたほか、PIO-NETにも同じ期間で2件の情報が入った。THCHを含むグミを食べた後に「幻視」が見えると訴えて救急搬送された事例や、ネット通販で購入したTHCH含有カプセルを摂取した後に、「上半身と顔が痺れ、目の焦点が合わなくなり、激しいめまいのあと意識に不明になり、救急搬送された」などといった報告が寄せられているという。こうしたTHCHをめぐる健康被害事例は、昨年7月以前にはなかった、と国センでは説明しており、この1年間で、THCH含有商品の販売が広がっていたことをうかがわせる。
カンナビノイドは種類が多く、100を超えるとされる。大麻取締法で規制されるTHCに類似のカンナビノイドを化学合成などしたものを海外から輸入し、規制を避けながら販売しているースもあるといわれる。規制当局の厚生労働省は、そうしたカンナビノイドを矢継ぎ早に指定薬物に指定することで対処しているものの、次々と類似成分が出てくることもあり、「いたちごっこ」の様相を呈しているようだ。「(指定薬物に)指定されて購入できなくなった人が別の成分を探す現状もある」と関係者は指摘する。
【石川太郎】
(冒頭の画像:THCH含有商品に対する注意喚起について記者説明する国民生活センター関係者)