国セン、相次ぎ注意喚起(前) 個人輸入した医薬品、化粧品「記載内容の確認と表示内容を理解した上での使用を」
(独)国民生活センター(国セン、山田昭典理事長)は6日、東京事務所(東京都港区)で記者会見を開き、インターネット通信販売などを利用して海外から医薬品や化粧品などを購入し使用する場合の注意点をまとめ、消費者に対して注意喚起した。
<美白クリームで皮膚障害が発生>
今年6月、国センの「医師からの事故情報受付窓口」に、患者(20歳代の女性)がインターネットの評判を見て購入した美白クリームを、皮膚の色素沈着のある部分に使用したところ、かぶれて色素沈着がより強くなったとの情報が寄せられた。
医師によると、患者は5月に当該品を化粧品の美白クリームとの認識でインターネット通信販売で購入して使用。当該品の表示などについて調べたところ、国内では医師の処方が必要な医薬品成分が含まれていた。また、含まれているとされた医薬品成分は作用が強く、基本的に軟膏として顔への使用は禁忌とされているものだが、当該品を販売しているサイトには、顔にも使っている事例を宣伝しているところもあったという。国センで当該品について調べたところ、主に医薬品の個人輸入サイトでの購入が可能な商品だったとしている。
医薬品を海外の事業者から購入して国内に持ち込む場合、原則として地方厚生局の確認を受ける必要があるが、輸入者自身が自己の個人的な使用を目的に一定数量の範囲内で持ち込む場合は、その確認を経ずに輸入できる場合がある。ただし、医師の処方箋、又は指示書などが必要で、個人の自己使用によって重大な健康被害が起きる恐れがある医薬品については、数量に関係なく地方厚生局の確認を受ける必要がある。
化粧品の個人輸入の場合、自己使用の目的に限り認められており、個人輸入したものを他人に販売・授与することは出来ない。販売・授与のために輸入する場合は、通常、製造販売業などの許可が必要で、さらに、品目ごとの届出も必要となる。
海外から医薬品や化粧品などを個人輸入する場合、輸出国と日本とで法体系や分類、基準、規制の違いから、国内では未承認の医薬品成分や医師の処方が必要とされる医薬品成分、あるいは、国内で化粧品への配合が認められていない成分、配合が認められている成分であっても最大配合量を超えて含まれていることがある。また、表示にない成分が配合されていたり、不衛生な場所や方法で製造された可能性も否定できず、品質・有効性・安全性の確認がなされていないケースもある。
そのほか、販売サイトなどでの記載や商品の表示・説明が日本語ではない場合もあり、使用方法や注意表示などの内容を正しく十分に理解できないまま購入し、使用してしまうケースも考えられる。
国センは今回、消費者に対して、医薬品や化粧品などを個人輸入する場合、販売サイトの記載内容をよく確認した上で購入の判断をし、商品の表示などを十分に理解してから使用するようにするようアドバイス。個人輸入した医薬品や化粧品などの使用によって体調に異変が生じた場合には、速やかに医療機関を受診するよう注意を促した。また、厚生労働省、消費者庁に対して、引き続き消費者に注意喚起するよう要望した。
【藤田 勇一】
(冒頭の画像:個人輸入した医薬品、化粧品の使用に関する注意喚起について記者説明する国セン関係者)