器具容器の基準改正、経過措置を5年に 第2回「食品衛生基準審議会器具・容器包装部会」開催
消費者庁はきのう29日、令和7年度第2回「食品衛生基準審議会器具・容器包装部会」を開催した。会議の模様をYouTubeで生配信した。
食品用の器具・容器包装の規格基準の一部改正に伴う経過措置期間について、当初の2年間から5年間へ延長する方針を固めた。規格試験を実施する地方衛生研究所などからの、実務的な対応可能性に係る意見を踏まえたもの。
経過措置期間中、各試験機関(地方衛生研究所、検疫所等)で規格試験を実施する際、新しい試験法に関する性能評価が未実施の場合であっても、「器具及び容器包装に係る規格基準に関する試験法等の取扱いについて」(令和7年5月30日消食基第362号消費者庁食品衛生基準審査課長通知)に基づく適切な精度管理等を行うことで差し支えないことが、通知等により示される方針とした 。
これらについては今後、パブリックコメントを実施した上で、告示改正が行われる予定。
リサイクルプラスチックの対象を広げる方針
これまで再利用が認められていたのは、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリスチレン(PS)に限られていた。今回、ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンをリサイクル指針の対象に加えることについても議論された。
PE・PPの追加は事業者からも求められており、基本的に現行のリサイクル指針を遵守することでそのリスクを管理することができると考えられる。ただし、現行のリサイクル指針は、PET・PSを前提に作成されているため、一部記載の修正の必要があるなどとした、
10月からパブリックコメントを行い、年内には正式に制度を改める予定。消費者庁は「安全を守りつつ、環境にも配慮した仕組みを整えたい」としている。
ポジティブリスト対象外の範囲を整理
ポジティブリスト制度の施行通知の改正案では、ポジティブリストの対象範囲が明確化され、食品添加物に使用される器具・容器包装、着色料の塗布の目的で器具・容器包装に部分的に用いられるインク等に含まれる合成樹脂や添加剤が、ポジティブリストの対象外となることが整理された。またQ&Aの改正案として、「漆の着色料」や「ガラス繊維の表面処理剤」など、ポジティブリスト対象外となる具体的な事例が示された。
アクリル酸類を主なモノマーとする重合体の食品用容器使用について確認
ポジティブリストに掲載されていない新規のモノマー等を合成樹脂原材料として追加する際、基材が分子量1,000以上であるなどの条件を満たす場合は、モノマー等通知の改正によって手続きを行うこととされている。
今回、アルキル炭素数が18のアクリル酸アルキル、メタクリル酸ジシクロペンタニル及びメタクリル酸2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4ヒドロキジフェニル]エチルから構成される重合体(「アクリル酸類を主なモノマーとする重合体」に該当)(マスターバッチとして食品用の容器包装に使用される想定)を食品用の容器包装に使用することについて、事業者から要請書が提出された。これらの物質およびこれらから構成される重合体は、食品への移行および安全性について国立医薬品食品衛生研究所の専門家の意見を聴取し、モノマー等通知の改正に問題がないと判断されたとしている。
【藤田 勇一】