問21めぐり国立栄研から回答書届く 「ナチュラルメディシンとの交渉は行っていない」(国立栄研)
11月26日、大阪へ移転した(国研)医薬基盤・健康・栄養研究所「国立健康・栄養研究所」(国立栄研)が「健都フェス2023」において一般公開される。大阪府吹田市は、イノベーションによるヘルスケア産業の創出を目指し、国立循環器病研究センターをはじめとしたオープンイノベーション施設を集積し、新たなライフスタイルの創造に向けたまちづくりを推進している。
同研究所の中村祐輔理事長は、学術プラットフォーム「Research.com」の科学者ランキングで日本一、世界第11位(10月25日現在)の優秀な科学者。昨年4月に理事長に就任し、2029年3月まで、「治らない病気を治る病気にし、健康寿命の延伸に貢献する」(理事長)ために同研究所を率いる。そんな矢先に起きたのが、今回のデータ引用禁止問題である。
既報のとおり、記者は17日に国立栄研の求めに応じて質問書を送った。そして24日の回答書で「ナチュラルメディシンとの交渉は行っていない」という新たな事実が浮かび上がった。
編集部は今年5月、「企業向けの発信サイトではない」として情報の引用を禁じると主張する国立栄研とのやり取りの中、質疑応答集の問20ならびに問21において、機能性表示食品の届出を行う事業者に対して消費者庁が推奨していることを指摘。それまで多くの事業者が国立栄研のデータベースを参考にしてきたことを説明したものの、国立栄研側は「『機能性表示食品に関する質疑応答集』においては例示のみであり、当サイトの利用が必須とは記載されていない」とあっさり否定した。今日の混乱はその時すでに予感されたものである。
同データベースの情報を必要に応じてニュースサイトで紹介していた編集部としては、その都度同所の承諾を得るわけにもいかないため、著作権法第32条の引用権に基づき情報の利用を求めていた。第1項には「公表された著作物は、引用して利用することができる。その引用は、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるもの」であればよいとされている。ところがそれ以降、こちらの問いに対して国立栄研からの回答はなく、今日に至った。どうやら問題の本質はそこにはなく、ナチュラルメディシン・データベースをめぐる権利問題に汲々としていたものと思われる。事業者のことなど眼中になかったのではないか――。
編集部が送付した7項目にわたる質問に対して24日、国立栄研からその回答書が届いた。しかしそれは決して十分と考えらえれる内容ではない。全てを以下に紹介する。(⇒つづきは会員専用ページへ)【田代 宏】
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