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消費者庁、改正景表法説明会開催~in名古屋 確約手続導入、課徴金制度の見直しについて解説

 消費者庁は10日、来月1日から施行される改正景品表示法に関する説明会を名古屋で行った。東京(3日)、大阪(5日)に続く開催となった。
 表示対策課企画係長の山田恵里花氏が、新たに導入される確約手続と違反行為に対する課徴金の強化などについて説明した。

 改正景品表示法は、2023年5月10日に国会で可決、同17日に公布された。同法では、事業者の自主的な取り組みの促進、違反行為に対する抑止力の強化などが主な内容を占める。何が不当表示に当たるのかという、いわゆる実体規定について変更はない。

事業者の自主的な取り組みの促進

 山田氏は、大きく3つの項目について説明した。第1に事業者の自主的な取り組みの促進。その中に2つの項目があり、その1つが確約手続きの導入(改正法第26~30条)。これが改正の目玉となる。もう1つが課徴金制度における返金措置の弾力化(同第10条)だ。

 確約手続きとは、違反の疑いのある行為を疑った事業者が自らその是正を行う計画を立てて、それを消費者庁が認定することで、行政処分である「措置命令」、「課徴金納付命令」を受けることなく調査が終了するというもの。

電子マネーによる返金措置追加

 返金措置の弾力化について説明した。
 課徴金制度とは、不当表示を行った場合に関連する売上の3%を国庫に納付する、いわば金銭的なペナルティを課す制度。この制度の中には、自主的に消費者に返金すれば、その分を課徴金から控除するという仕組みが元々設けられていた。ところが過去の利用件数はわずか4件にとどまっている。活発に利用されていないことを踏まえて、返金の対象に、従来は現金のみであったところを、電子マネーを追加することにした。

直罰規定導入「罰金100万円以下」

 違反行為に対する抑止力の強化として、従来3%だった課徴金に対し、違反行為を繰り返した場合には3%を4.5%に水増しすることが今回の改正で盛り込まれた(同第8条)。
 さらにもう1つの抑止力の強化として、罰則規定の拡充が行われた。これまでは不当表示を行った場合、行政処分を行って、行政処分に違反した場合に刑事罰が科されたが、これからは故意に行われる悪質な不当表示については、いきなり刑事罰(100万円以下の罰金)がかかるという仕組みが導入された(同第48条)。法人および個人への両罰規定もある。

国際化の進展に対応

 さらに、円滑な法執行のための手続きの整備も行われる。そのうちの1つが国際化の進展に対応して、海外の行為について措置を取る際の手続きを整備。また、海外の当局の間での情報提供ができるような規定が設けられた(同第41~44条)。
 海外の事業者が我が国の消費者を誤認させる表示を行った場合に、このような行為を防ぐために、外国事業者が所在する国の当局に対して情報提供を行うなどの協力体制を強化する。

適格消費者団体による開示要請規定導入

 もう1点が適格消費者団体による開示要請規定の導入である。不当表示に対しては元々、行政庁による法執行に加えて、適格消費者団体が差し止めを求めることができた。その中に不当表示の疑いがあると適格消費者団体が判断した時に、事業者に対して表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請することができるという規定が新たに設けられる。これまでも開示を求めることはできたが、法律上その根拠を明確にし、要請を受けた場合に事業者が資料を開示する努力義務を負うという規定が付け加えられた(第35条)。

法改正の背景とその仕組み

 「事業者の自主的な取り組みの促進」と「確約手続きの導入」について、改正の背景とその仕組みについて具体的に説明した。

 これまでは、不当表示に対する調査を受けている最中に、事業者が積極的に表示を是正することで、一般消費者への被害回復を図り、再発防止の体制を整えることを自主的に行ったとしても、法律上、その行為を評価する仕組みがなかった。
 これに対して、事業者の自主的な取り組みを一層促進させるための枠組みとして確約手続きが導入された。具体的には、違反行為疑いとなった行為をした事業者が、それを是正する計画を自ら作り、それを消費者庁が認定すれば、措置命令や課徴金納付命令という行政処分を行わずに終結するというもの。

 法改正に伴い消費者庁は、改正法を実際に運用するための細則として「内閣府令」と「運用基準」(ガイドライン)を新設する。内閣府令は、具体的な申請確約手続きを利用する際の計画を作る時の様式や手続きを規定したもので、運用基準によって確約手続きをどのように適用していくかを示している。同基準は今年4月に公表している。

 フローチャートを示して、確約手続の流れを説明した。
 これまでは、不当表示に対する調査を開始し、約1年以内に弁明の機会が事業者に付与され、その後措置命令、さらに課徴金納付命令に至ったが、確約手続の導入によって事業者と消費者庁の間に確約手続の認定をめぐる一定のやり取りが生じることになる。

 事業者から確約手続作成の意向を受けた消費者庁が、確約手続の流れを伝えるための通知を行う。60日以内に事業者が確約計画を作成して申請し、「措置内容の十分性」、「措置実施の確実性」を同庁が確認、承認すれば確約計画が認定されたものとし、その旨を公表する。事業者名を公表することについては、パブリックコメントでも「社会的に不利益になる」という意見も出たが、「法運用の透明性も非常に重要なため、事業者名を公表することにした」(消費者庁)という。ただし公表に当たっては、「景品表示法の規定に反することを認定したものではない」と付記しバランスを取る。

 通知要件としては、景表法26条(改正後は22条)に規定されている「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置」などが運用されているかどうかも判断要素の1つとなる。

 ただし、過去10年間に措置命令・課徴金納付命令を受けている場合や、表示に根拠がないことを認識しながら表示を行うなどの悪質・重大な違反被疑行為の場合は確約手続の対象外となる。
 また、確約計画が認定どおりに実施されていない場合、虚偽・不正の事実に基づいて確約計画の認定を受けたことが判明した場合などについては、認定が取り消され、改めて調査が再開されることになる。

 山田氏は「確約計画の認定要件」、「確約措置の例」など、改正点の細部について詳細に説明した後に、ステルスマーケティング(ステマ)広告、No.1表示による最近の違反事例を紹介して話を終えた。

【田代 宏】

(冒頭の写真:説明会会場の様子、文中の写真:説明会が開かれた名古屋栄ビルディング)

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