受託企業は改正食衛法にどう対応するのか?
<指定成分の動向に注目>
今年6月、15年ぶりに改正された食品衛生法に基づく健康食品の安全性確保をめぐる問題について、受託製造企業も高い関心を示している。特に影響すると考えられるのが、注意が必要な成分の指定と、HACCP制度の行方だ。指定成分については、事業者への行政指導などが行われた「ガルシニア」「コエンザイムQ10」「スギ花粉」「アガリクス」「プエラリア・ミリフィカ」などをはじめ、どのような成分が指定されるのかが注目される。
厚生労働省では「まだ公にできる段階にはない」としながらも、「どういうものを指定成分と定めるのかについて内部で情報を整理している。今後は(過去の事例のように健康被害などが起きた場合に限らず)事後的な対応のみならず、リスト化した成分について報告義務や適正製造管理を求めるようになる」と話している。指定成分になれば、事業者には改正法に沿った対応が迫られることになる。
<GMP義務化に賛成46%、反対ゼロ>
機能性表示食品制度の届出ガイドラインでは、「サプリメント形状の加工食品については、GMPに基づく製造工程管理が強く望まれる」とされている。
(株)ウェルネスニュースグループがGMP義務化について受託製造企業を対象にアンケート調査を行ったところ、「機能性表示食品以外の『いわゆる健康食品』についても義務化した方がよいか」の質問に対し、46%が「賛成」と回答。54%が「どちらともいえない」とし、「反対」は1社もなかった。年商1億円規模の九州のある受託企業では、GMP指定の製造は外部に委託しているが、「将来的に様子を見て自社での取得も検討する」と話している。
消費者庁による機能性表示食品の公開届出件数は9月28日現在で1,497件(撤回した商品も含む。ただし、消費者庁のデータベースから消去された届出番号A11・25・217は除外)。その内訳はサプリメント713件、その他の加工食品767件、生鮮食品17件となっている。サプリメント713件のうち、GMP認定工場で製造された商品は666件と、全体の93%を占めた(医薬品GMP含む)。機能性表示食品全体に対するGMP工場の割合は約53%だった。
<公開届出件数のトップは東洋新薬>
機能性表示食品の届出支援に関わる受託企業をランキング別にまとめた。届出支援については、1商品に対して1社1製造所が関わる場合もあれば、製造から充填・包装までを複数の工場が関わる場合もあるなど、形態はさまざまだ。消費者庁では、「届出をしようとする食品を生産・製造する全ての施設を届けなければならない」としている。ランキングでは、何らかのかたちで届出支援に関わることで、消費者庁の届出データベース「様式Ⅲ」の(1)に掲載されている企業をカウントした。
トップは(株)東洋新薬。業界トップの売上を誇るアピ(株)は65件と6位に甘んじている。ランキングを見る限り、機能性表示食品制度に対しては消極的な姿勢がうかがえる。規模の割に積極的なのが、トップ10入りした中日本カプセルだ。同社が関わった機能性表示食品は、9月末現在で28件が公開されている。
【田代 宏】
※詳細は「Wellness Monthly Report No.4」(10月31日発刊)に掲載予定。