厚労省、THC残留限度値定めた政令公布 12月12日施行、数値に変更はなく
厚生労働省はきょう11日、大麻草由来カンナビジオール(CBD)製品中のテトラヒドロカンナビノール(THC)残留限度値を規定する政令を公布した。12月12日に施行する。当初は10月1日施行の予定だった。
政令の案に対するパブリックコメントの結果を踏まえ、THC残留限度値を規定する製品区分の考え方が見直された。公布された政令では、①「油脂(常温において液体であるものに限る)」及び「粉末」、②「水溶液」、③「①及び②以外のもの」(その他製品)──とされており、①と②が修正された。③は、グミなど「固形物」の区分。具体的な製品例は今後、通知などで示すという。
案の段階で①は、飲食料品のうち油脂(常温において液体であるものに限る)、②は飲食料品のうち飲用に供するもの──などとされていた。この変更で、CBD製品の原材料として主に用いられている「粉末」は、①(油脂及び粉末)に区分けされることが明確になった。最終製品に使用する原材料の区分は特に設けない。
油脂と粉末を同じ区分とした理由について、所管する同省医薬局監視指導・麻薬対策課は、「粉末自体を油脂と同様に摂取することが可能であること、(粉末が)油脂の原料として用いられている実態があることを踏まえた」と説明している。
一方、THC残留限度値に変更はない。①は10㎎/kg(10ppm)以下、②は0.10mg/kg(0.1ppm)以下、③は1mg/kg(1ppm)以下にとどめおかれた。
この政令に規定されるTHC残留限度値以下であれば、大麻草の花穂や葉も利用できることになる。しかし、「海外に比べて厳しい数値」と見る関係事業者が多い。パブリックコメントでは、限度値の引き上げを求める意見が上がった。同課によると、寄せられた意見は全体で3,400件近く。政令案とは無関係の意見も含めると、約5,500件に達したという。
大麻草由来CBD製品を輸入販売などしている事業者は、政令施行日までに、製品中のTHC残留量を確かめる必要がある。残留限度値を超えるおそれのある製品は、施行日までに処分・廃棄するよう厚労省は求めている。
同省は今後、規定に合わせたCBD製品中THC含有量の分析が可能な国内外の分析機関のリストを公表する方針。輸入販売を手がける事業者は、「分析できなければ残留量を正確に把握できない。一刻も早くリストを示して欲しい」と訴えている。
【石川太郎】
関連資料:大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案に関する意見募集の結果について(e-GOVサイトへ)
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