厚労省、食事摂取基準2020年版の報告書(案)示す
<高齢者の低栄養・フレイル予防も視野に>
2020~24年度まで使用する食事摂取基準2020年版の策定に向けて、厚生労働省は22日、「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」に、生活習慣病の発症・重症化予防に加え、高齢者の低栄養・フレイル予防も視野に入れた報告書(案)を示した。3月22日の次回会合で報告書(案)を取りまとめる。厚労省は来年度にパブリック・コメントを実施し、「食事による栄養摂取量の基準」を告示する計画だ。
20年版の特徴の1つに、高齢者の低栄養予防やフレイル予防を念頭に置いたことがある。このため、「たんぱく質」は、男女ともに50歳以上の「目標量」を引き上げる方向となった。50~64歳は目標量(総エネルギー摂取量に占める割合)の下限値を現行の13%から14%へ変更。65~74歳と75歳以上では15%へ引き上げる考えが示された。
「エネルギー」については、特別の配慮が必要となる高齢者に関する情報を盛り込むとともに、若年女性のやせ対策にも言及。高齢者は基礎代謝量や身体活動レベルの低下によってエネルギー必要量が減少するため、BMIを維持する場合も、エネルギー摂取量が少なくなり、たんぱく質やその他の栄養素を充足することが困難になると注意を促している。
<数字の勝手な解釈を懸念>
一方、「ナトリウム」については摂取量が減少傾向にあるため、男女ともに成人の「目標量」を変更する案が示された。男性は「目標量」(1日当たりの食塩相当量)を現行の8.0g未満から7.5g未満へ、女性は7.0g未満から6.5g未満へ変更する方向となった。これにより、WHOが掲げる目標の「5g未満」に一歩近づくこととなる。
「飽和脂肪酸」については、科学的エビデンスが蓄積されたことから、3~17歳までの各年齢層の「目標量」を設定する案が示された。
このほか、食事摂取基準を利用する業界関係者の間で、各指標の数字が独り歩きして勝手な解釈をするケースが散見されるため、出席した委員から、数字の読み取り方などの周知が必要といった意見が寄せられた。
(写真:22日に開催された検討会の冒頭)