オメガ3脂肪酸（EPA）医薬品原薬の製造を手がける備前化成㈱（岡山県赤磐市、清水富江社長）。サプリメント・健康食品のBtoB（対事業者）総合メーカーでもある。原材料から最終製品までの一貫製造体制を岡山県内の研究開発・製造拠点に構築。各製品の製造は、健康食品GMP適合認定を取得した全6工場（原材料3工場、最終製品3工場）で行っている。

医薬とサプリ、設立当初から二刀流

　備前化成は1971年設立。75年に天然型ビタミンＥを開発し、それを配合した栄養補助食品（サプリメント）『ビタポールE』を発売。その後79年に医薬品原体として天然型α-トコフェロールを開発し、80年には医薬品の天然型ビタミンＥ製剤を発売するなど、会社設立当初からサプリメントと医薬品の両方の開発、製造販売を手がけてきた。

　現在、同社が販売に力を入れているサプリメント原材料、SAC（S-アリルシステイン）高含有ニンニクエキス末の開発に後につながるニンニクエキスパウダーを発売したのは84年。90年代に入ってからは、98年にEPA医薬品原体の量産を開始。サプリメントの原材料や最終製品の品目数も増え、本社敷地内に置く工場も、98年までに計5工場を竣工して運用するに至っていた。

　健康食品GMP適合認定を初めて取得したのは2005年。医薬品を参考にしたGMPが健康食品業界に実装されていく契機となった「平成17年通知」を厚生労働省が発出した年に、製剤化（最終製品化）を行う第2・第3工場について、認証機関の１つである（公財）日本健康・栄養食品協会からの認定を得て取得した。

　その後13年には、第1・第5工場で原材料GMP適合認定も取得。現在までに、第1から第7までの原材料3工場、最終製品（製剤・包装）3工場の全6工場（第4は欠番）について同協会によるGMP認定を得て、更新を繰り返しながら認定を維持している。

　品質管理・保証部門に在籍したこともある同社の広報担当者（市場企画部）は、「原材料GMPも取得したことで、健康食品の製造、品質管理をGMPで行うことに対する考え方や、取り組み方が全社的に揃ってきたところがある。最終製品GMP認定だけしか取得していなかった当時は、（原材料と最終製品の製造、品質管理に対する考え方などが）バラバラだった。その意味で、新しいガイドライン（3月に厚労省が発出した新・平成17年通知で求められている内容）は、これまでも私たちが取り組んできたことでもあるし、違和感はない」と話す。

顧客満足のために独自性と品質を両立

　また、医薬品原薬の製造を行っていることが、サプリメントの原材料から最終製品までの製造、品質管理に役立っている面もあるという。

　「医薬GMPと健康食品GMPの最大の違いは何といっても一方は法令であるのに対して、もう一方は自主的に取り組む基準であること。細かな違いもあって、医薬品GMPでは要求事項であることが、健康食品GMPでは推奨事項だったりする。医薬品と健康食品の両方を手がけているからこそ、そうした違いを理解し、医薬品GMPの考え方を健康食品の方へ自主的に取り入れることで、品質管理レベルを段階的に引き上げていくことができたと思う」

　ここ数年の同社は、サプリメントに関して、独自の製剤技術や原材料の開発に力を入れている。原材料で言えば、機能性表示食品対応素材として広がりを見せ始めているSAC高含有ニンニクエキス末がその筆頭。通常のニンニクにSACはほとんど含まれないが、独自の発酵製法を開発し、生ニンニクの200倍以上にSAC含量を高めた。

　そのように独自に開発し、世に出していくものは、安全性や有効性を担保する品質について科学的根拠のあることが前提になる。「独自性と品質を両立させながらお客様の要望をかたちにし、お客様の満足を得ていきたい」と同社では話している。

（冒頭の写真：本社敷地内に昨年末竣工した新社屋。開発部や品質保証部などの研究開発・品質確認部門を集約した「イノベーションセンター」を1階に置く。備前化成提供）

＜COMPANY　INFORMATION＞
所在地：岡山県赤磐市徳富363
TEL：086-995-3311
URL：https://www.bizen-c.co.jp/
事業内容：医薬品（医療用医薬品の原薬、一般用医薬品）・医薬部外品・健康食品素材・健康食品の製造販売

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