包装前面栄養表示の方向性を議論 第3回「栄養成分表示検討会」開催
消費者庁は12日、「第3回分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」(座長:石見佳子氏・ 東京農業大学教授)を開催した。諸外国ですでに実施されている包装前面栄養表示(FOPNL)を、わが国の食品制度に導入を諮る目的で開催してきた同検討会は、3回目となる今回でその基本的な方向性についての議論を終えた。同庁では近日中に内容を報告書に取りまとめる。
最終検討会となったこの日は、管理栄養士と食品関連事業者の各グループを対象に、表示に関する調査結果についての報告が行われた。さらに日本版包装前面栄養表示の基本的な方向性の中間取りまとめについても議論が交わされた。
調査報告では、管理栄養士から「現行の制度は複雑なので分かりやすくすることが困難」、「表示の見た目の改善が必要」、また食品関連事業者からは「表示が良くないと思うことがある」、「ルールがあいまいでメーカーに解釈が任されている」などのアンケート結果が示された。
検討委員からも「メーカーの中には完全栄養食との表現を用いているケースもあり、FOPNLにおいても過剰な表現は制限すべき」との意見もあった。
FOPNLの方向性については、WHOやコーデックス委員会のガイドラインを踏まえ、わが国の健康・栄養政策との整合性も持たせる。その上で消費者が利活用しやすい食品単位で表示すること、それを食品関連事業者に働きかける必要性なども議論された。また、表示する項目に関しては、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量)の5項目とした。表示項目に関しては、食品関連事業団体の委員から「現状でもトレー形式の弁当や総菜では前面表示にかなりスペースを取られており、消費者が内容物をよく見られないような表示方式は避けてほしい。裏面表示とのバランスをどう取るのか、統一したルールを決める必要がある」との意見も出た。
報告書ではこれらを踏まえ、栄養成分表示制度をめぐる事情、一般消費者などへのインタビュー調査、わが国におけるFOPNLの方向性の3つを柱に、近日中に同庁が取りまとめて公表する。また、デジタル表示や国民への周知・啓発など今回示された課題については「来年度以降に整理・議論を行い、FOPNLを制度化する上で具体的にどのようなかたちが望ましいのかを検討していく」とした。
【堂上 昌幸】
(冒頭の写真:冒頭で趣旨説明を行った消費者庁の依田学審議官)