加熱する乳酸菌市場の競争
<江崎グリコ、イヌリン配合で差別化>
好調を続ける乳酸菌市場。個性的な乳酸菌を武器に、市場参入を果たす企業が相次いでいる。乳酸菌市場は群雄割拠の状況にある。
昨年8月に本格参入し、業界の話題をさらったのが、ハウス食品グループの「乳酸菌L-137」。東南アジアの伝統的な発酵保存食である「なれずし」から発見された乳酸菌で、加熱処理を施している。生きた菌(生菌)は加工や保存状態によって変化しやすい。これに対し、加熱処理した菌(死菌)は安定化するという性質を持つ。
ハウスウェルネスフーズからL-137を配合したゼリー、ドリンク、パウダースティックの4商品が発売されているが、現時点では当初の売上目標をやや下回っているという。「乳酸菌市場は競合が多く、埋もれてしまっている」(広報・IR部)。米国では既にサプリメント原料として供給しているが、日本でも原料供給を展開する方針としている。
日清食品グループは今年1月28 日、「ヒアルモイスト乳酸菌(ラクトバチルス・ガセリN320株)」を配合したドリンク商品を投入。また、「リフレクト乳酸菌(T-21 株)」を配合したサプリメントも展開している。昨年10月、大塚製薬が「乳酸菌 B240」を配合したドリンク商品を発売したことも話題に上った。
直近の話題としては、江崎グリコの「BifiXヨーグルト」のリニューアルがある。全品に食物繊維のイヌリンを配合し、ビフィズス菌との相乗効果を訴求する。ヨーグルト市場で進む菌の種類の多様化を受けて、菌と食物繊維を同時に摂取することを新たなスタンダードとして提唱している。
乳酸菌・ビフィズス菌を機能性関与成分とする機能性表示食品の届出件数は、150件を超す。機能性表示食品の主要ジャンルの1つを形成する。最近の届出を見ると、明治の「PA-3乳酸菌」を含むヨーグルトの届出が公表され、業界関係者の注目を集めた。また、アサヒカルピスウェルネスの「L-92乳酸菌」 を配合したサプリメント、キリンの「KW乳酸菌」を配合したサプリメントの届出も公表されている。
オハヨー乳業は3月5日、ロイテリ菌を配合した機能性表示食品「ロイテリヨーグルト」の販売エリアを全国に拡大した。「乳酸菌市場は競合相手が多いため、まずは機能性をPRすることに力を入れた。1年半ほどかけてPRを行った効果があり、ほかの地域から取り扱いたいという声が出てきた」という。ロイテリ菌は、アンデス山中のペルー人女性の母乳から発見された乳酸菌。これまでに180件を超える臨床試験が行われている。
※詳細は5月31日発刊の『Wellness Monthly Report 第11号』に掲載。