ウキシマメディカル㈱（静岡県富士市、坂倉久慶社長）は、健康食品（ソフトカプセル・ハードカプセル）のODM（設計製造）・OEM（受託製造）メーカーで、今年創業30周年。同社では、商品に使用する原料の調達から製造企画・設計まで、幅広く対応することが可能。「顧客目線」で「手間を厭わない」をモットーに身の丈経営を貫いている。売上高は前年比2桁増と好調に推移している。

GMP認証工場で品質確保

　1994年1月に創業した同社は今年30周年を迎えた。ソフトカプセル、ハードカプセルを中心に健康食品の各種小分け包装受託製造を行っている。適正価格、短納期、小ロット対応をモットーに、顧客の要望に合わせて多様なカプセル製品を提案することができる。昨年は新規客の増加もあり、今年6月期の売上高は前年比2ケタ増を見込んでいる。通販会社を中心に店販などで顧客を増やした結果だ。

　常に品質と技術力の向上に取り組んできた同社は、処方を変えることなく液漏れを防ぐ方法や、粘度が低くてもカプセル内での分離現象を防止するなど、品質・衛生面における技術の底上げに力を注いできた。2009 年4月にJIHFS・GMPを取得（2022年4月JHNFAへ切り替え）、2012 年にISO22000認証を取得するなど、安全・品質管理面の強化を徹底している。

　従業員100人規模の中堅受託企業で、安心して任せることのできるOEM会社として定評がある。テストマーケティングを目的とした小ロット生産、品質を落とすことなくトータルコストを見直すなどの低コスト化への対応はもとより、既存商品のグレードアップや配合成分の見直しなどに努めることでリニューアル商品の開発をきめ細かくサポートする。「信頼を絶対に裏切らない」との強い信念と使命感を持つ坂倉社長は、「規模は小さいながら信頼される企業としてこれからも地道にやっていきたい」と話す。今後は台湾など海外進出も視野に入れる。

4月から新社屋増設へ

ソフトカプセルの検査工程では全数検査で異形状・異物・傷などの不良球を除去。また、高速度検査機を導入し、目視と機械による検査を行うことで精度を高めている。自動給袋包装機・自動計数充填機・三方シール・ボトル充填機などを導入。さまざまなパッケージングに対応できる。品質管理工程では、カプセルの大きさや内容量を測定する製剤試験をはじめ、微生物試験を実施し、製品の品質確保に努めている。場合に応じて原料の段階でも検査を行い、安全と品質管理面の強化を徹底している。

　ソフトカプセルでは、ラグビーボール型、長楕円型、球型、三角型、しずく型など顧客のニーズに応じて対応。豚・魚・牛を由来とするゼラチンとグリセリンからなる皮膜で内容物を密封することで酸化を防ぎ、優れた内容物の安定性を担保している。ハードカプセルでは、内容物の物性に合わせて6台の充填機を使い分けている。プルラン、HPMCといった植物由来と、豚由来のカプセルを提案。サイズはそれぞれ1号、2号、3号をラインアップ。加熱、加圧することなく製造でき、内容物の変質が極めて少なく、原料の自然な状態を維持する。　奇抜なアイデアで商品開発を行うよりも、不良品を一切出さないカプセル製造会社を目指している。新規参入企業のサポートにも手厚い。機能性表示食品制度にも対応、要望を吸い上げ、精査した上で個々の案件に対応している。

　4月から隣接する空き地に新たに社屋を増設する工事を開始した。社員のためにくつろぎの場を確保するとともに、本社倉庫を一部移動。本社の空いたスペースには、充填設備や包装設備を拡充する予定だ。

＜COMPANY　INFORMATION＞
所在地：静岡県富士市中里2626-65（本社）
TEL：0545-32-2723
東京営業所：東京都千代田区神田猿楽町2-8-11
TEL：03-5207-2725
URL： http://www.ukishima-m.com/
事業内容：ソフト・ハードカプセルおよび健康食品各種小分け包装の設計・受託製造

（冒頭の写真：本社工場、文中の写真：ソフトカプセル充填機）