制度を評価しますか?118社に聞く 【機能性表示食品特集】公平性・透明性を求める声が多数
㈱ウェルネスニュースグループが、機能性表示食品制度に対する事業者らの受け止めを尋ねるウェブアンケート調査を実施したところ、制度を評価する声が多かった一方で、公平性や透明性を求める意見も多数挙がった。有効回答数は118社(89%)。調査では、「健康食品試験法研究会」(唐木英明代表)が提案する臨床試験方法(無処置対照試験)についても尋ねた。
制度を評価する声は80%超 広告展開において必須に
アンケートは今年4月に実施。健康食品の原料メーカーやOEMメーカー、食品CRO、販売企業、各種支援企業を対象に行った。
機能性表示食品制度に対する評価について聞いた。最も多かったのが「評価している」で64%、次いで「とても評価している」が19%、評価する声が8割を超える結果となった。編集部が昨年と一昨年に実施したアンケートから、引き続き評価する声は高い水準を維持している。
最終商品を販売するある事業者は、「エビデンスに基づき広告などで直接言える内容が増えるため、言い逃れのような広告より、海外で戦えるエビデンスの取得に戦場が移った」と評価した。そのほか、「制約はあるが、特定部位や身体への効能効果を届出の範囲内であればはっきりと広告で標ぼうでき、健康食品では伝えられないことも訴求できる」、「根拠となるデータに基づく食品の機能を表示ができるので、消費者に分かりやすい」など、消費者に分かりやすく商品の特徴を伝えることができるという点を、評価する理由に挙げる声が多く聞かれた。
原料メーカー・商社やOEMメーカーからは、「自社原料の販促活動にSRの提供が役立っている」、「機能性を強調したPR活動ができるようになった」、「付加価値を付けられるため、価格転嫁に理解を得やすい」、「機能性表示食品を前提とした新規取引の問い合わせが増えてきている」など、営業面での貢献度の高さを理由に評価するという声が多く聞かれた。その貢献度を割合で見ると、「とても貢献している」、「貢献している」は合わせて57%という結果となった。また、「今のところ貢献していないが今後、貢献する可能性がある」も27%となっており、制度への期待値の高さがうかがえる。
10%が評価しない 「届出ではなく実質審査」に不満
一方で、10%は評価しないという結果に。その理由として事業者からは、「事実上の審査があり、外国と戦えるレベルにない」、「ヘルスクレームが分かりにくい表現で、何に効果があるのか分からない」、「最近エビデンスが弱いのに強い表現をする商品が増えてきている。実質的な効果が期待できない商品が増えているように見える」、「届出制ではなく、実質許認可制になっているように感じる」、「中小企業にはあまりメリットがあるように思えない」といった声も一定数あった。
「制度をより良くしたいという意図は見えるが、公開されたものを取り下げる品目が多すぎる」(原料メーカー)、「ある一定の審査基準で評価されており、消費者は安心できる制度とは思うが、この数年で審査内容や基準も変わってきており、古い機能性表示食品については市販後3~5年を目安に再評価期間を設けるべき」(販売会社)、「消費者に対して商品選択の指標になっているが、広告を出せる大企業の商品だけが目立っている」(支援会社)などの声も聞かれた。(⇒つづきは会員専用ページへ)
【藤田 勇一】
(冒頭と下のグラフ:アンケートの結果を基にWNG編集部で作成)