共立電器、フォレスト社に措置命令 除菌、集塵、脱臭などの誇大表示、健康効果も
消費者庁は21日と22日、空気清浄効果を標ぼうして商品を販売する共立電器産業㈱(以下共立電器、東京都大田区、吉松敏社長)と㈱フォレストウェル(以下フォレスト社、神奈川県横浜市、森井隆平社長)の2社に対して、それぞれ景品表示法に基づく措置命令を行った。22日、同庁が発表した。
共立電器は微量のオゾンとマイナスイオンを発生させるとする『空気活性清浄機サリー』(=写真左:H21✕W10✕D12cm)という商品、フォレスト社は同じく『j.air(ジェイエアー)』(=写真右:H12.5✕W12.5✕D12.5cm)という商品を販売。室内空間におけるウイルス除去・除菌効果、集塵・除塵効果、脱臭・消臭効果を合理的根拠なく、ウェブサイトで標ぼうしていた。『――サリー』の方は「安眠」、「鎮静」、「血圧降下作用」などの健康増進効果も訴求していた。
また2商品ともに、一般に売られているファンやフィルターを備えた機器とは異なり、商品に空いた穴からマイナスイオンやオゾンを発生させるという特殊な構造をしている。
表示媒体、表示期間は共立電器が今年2月~11月頃まで。フォレスト社が同2月~7月頃まで、自社ウェブサイトやその中の掲載動画などで表示していた。
消費者庁が景品表示法の不実証広告規制(7条2項)の規定に基づき、両社に対して室内に置くだけで効果を発揮するという有効性の根拠資料の提出を求めたところ、根拠とするデータの提出は共に行われたものの、表示の裏付けとなる根拠とは認められなかった。同法5条1項1号に基づき優良誤認表示とみなされ、同7条1項の規定に基づき措置命令が下された。
両社が提出したデータは密閉空間における試験結果に過ぎず、室内などの実際に生活している実用空間におけるものではなかった。その中には、0.2立方メートルという極小の狭い空間における試験結果なども提出されており、表示している効果とその根拠が対応していないと評価された。
消費者庁は、試験の手法についても客観的な手法による実証ではなかったと説明した。「例えば、こういう商品の効果を試験する際は、商品を使った場合にどういう効果を得られるかということと同時に、商品を使わなかった場合にどういう効果があるかという、いわゆる『対照試験』を行うことが必要」(口ノ町達朗上席景品・表示調査官)とし、今回、対照試験が行われていなかったことを明らかにした。
消費者庁によれば、2020年から今年にかけて、空間除菌を標ぼうする各種商品を販売して措置命令を受けた事業者は23社に上るという。また今回、措置命令を行う判断の1つの要素として「対照試験」の有無が参考とされたが、これは必ずしも「今回に限ったことではない」(同)という。
共立電器とフォレスト社は、これらの商品が景表法違反に当たることを一般消費者に周知し、再発防止策を講じた上で、自社社員に周知徹底しなければならない。
【田代 宏】
※対照試験について、2度の措置命令を受けた㈱大幸薬品は2024年2月15日、「当社のクレベリンにおいては、試験空間内にて、クレベリン置き型を設置した状態での試験と設置していない状態での試験は行っている。クレベリンTVCM上でも試験データとして『対照試験(自然減衰)の影響を差し引いた残数率』を表示している」と述べている。
関係資料はこちら(消費者庁HPより)