全相協、電話相談110番の結果公表 通販、電子広告によるトラブルが増加、SNSによるアポイントセールスも
(公社)全国消費生活相談員協会(全相協、増田悦子理事長)はこのほど、2022年度電話相談110番「その『広告』気になりませんか?」の調査結果を公表した。
相談受付総数309件
同調査は、広告表示による消費者被害の未然防止、拡大防止を図るとともに、法改正に向けた提言も視野に入れて行われた。
10月1日~23日の土・日曜日の8日間にわたり、広告表示や勧誘トラブルについて、東京・大阪・北海道の3地区で延べ68人の相談員が電話を受けた。相談受付の総数は309件。相談者の中には、家族の契約に関する相談もあったが、全てが何らかの契約に関わる相談だった。
相談者・契約者共に50代が最多
相談者・契約者共に最も多かったのは50代だったが、相談者は30代~60代、契約者は10・70・80代が多かった。これは、子どもや親の契約についてその家族が相談しているものと思われる。
職業別では、相談者・契約者共に給与生活者が最も多く、無職、家事従事者と続いた。
相談が最も多かったのは、アダルトサイトや配信サービス、旅行関連の「教養・娯楽サービス」だったが、脱毛エステなどに関する「保健・福祉サービス」が第2位だった。
相談内容では、契約・解約に関する相談が255件と最も多く、販売方法161件、表示・広告71件だった(複数回答)。
通販による購入最多、9割が電子広告が原因
販売購入形態は通信販売が118件と最も多かった。第2位が店舗購入88件、続いて訪問販売33件だったが、SNSで知り合った人に呼び出されたり、訪問を受けたりするアポイントメントセールスが含まれていた。
広告に起因する相談では、電子広告が84件と9割を超えた。また、SNS広告からの誘導では定期購入が3割以上だった。
また、SNSによる広告を見てサイトに入ったという相談15件の内、33%が定期購入の相談だった。
通信販売の相談では「SNSで除毛剤が500円という広告」、「無料メッセージアプリの広告で知ったサイトで、お試し価格の白髪用シャンプーなど1.980円」、「SNSで美容について話しているインフルエンサーの番組で、洗顔クリーム初回500円の広告」などによる被害が寄せられた。
報告書では、消費生活において広告表示が大きく関わっているとし、中でも9割以上を占める「電子広告」が引き起こすデジタル社会の問題性を指摘している。
店舗購入では商品によるトラブルよりもサービス契約の相談が多くなったとし、豊胸手術やアンチエイジング、脱毛などに関するカウンセリングのつもりが高額の料金を支払わされたなどのトラブルが増えている。
行政へ処分の強化求める
全相協は、消費者にトラブル防止のための注意喚起を行うとともに、販売事業者・ASP、プラットフォーム事業者、検索エンジン事業者などに消費者への啓発、自主規制、苦情相談対応などを求めている。
また、行政に対しては、新たな販売手法に対する行政処分の強化を訴え、特にSNSやメール、チャットによる勧誘については法改正も含め、電話勧誘販売と同様の規制を求めている。
消費者はアフィリエイト広告を広告と理解していないケースもあるとし、アフィリエイト広告について、広告主の責任はもとより、今後のトラブル状況によっては、アフィリエイターなどの供給主体でない者も景品表示法の対象とすることの検討が必要だとしている。
(冒頭の画像:全相協のチラシを加工、転載)