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健食試験法研究会、第2回会合開く 唐木氏、無処置対照試験に適した領域を提示

 健康食品試験法研究会(代表:唐木英明東京大学名誉教授)は19日、2回目の会合をオンラインで開き、プラセボ対照試験に代わる健康食品の有効性評価の実行可能性を探った。

 前回の協議を受け、代表の唐木氏は、プラセボ対照試験で物質作用(関与成分の有効性)が確認されづらい領域(症状)を整理。心因作用(プラセボ効果)が大きく、かつ、被験者が軽症である場合はプラセボとの差が現われにくいとした上で、膝関節などの慢性疼痛・睡眠・疲労・ストレス・血圧・体温・便通──などといった領域を挙げた。機能性表示食品で届出が多い領域が複数含まれる。

 唐木氏は、プラセボ対照試験に代わる健康食品の有効性評価方法の1つとして、無処置(何もしない)対照試験を提案している。プラセボ対照、無処置対照ともにメリット、デメリットがあり、プラセボ対照の欠点について唐木氏は、物質作用を過少評価する場合があること、自然変化を無視する場合があることを挙げ、そのため健康食品の有効性評価に使用できない領域が多数あることが欠点だとする。

 一方で無処置対照も、盲検性を確保できないため、物質作用とプラセボ効果を分けて評価できない欠点がある。だがこの欠点は、in vivo試験などで物質作用の有無をあらかじめ確認しておくことでカバーできると主張。その上で、「プラセボ対照が使用出来ないのであれば、無処置対照の欠点を補って使用するしかない」と訴える。

「プラセボ対照に不向きな食品ある」、「客観性や公正性をどう維持するか」

 この日の会合で参加者からは、「サイエンスを突き詰めれば、行きつくところはプラセボ対照に当然なる」としつつ、医薬品ではない食品の有効性評価にそればかりを適用することへの違和感も聞かれた。「生鮮食品はもとより加工食品でも、プラセボ対照が馴染まない食品がある」からだ。 
 「(食品だからといって)統計の有意差(検定の基準)を緩めるのは科学的とは言えず、誰からも納得されない。だが、プラセボ対照(で有効性を評価すること)が難しいもの、馴染まないものを理論的に明確化していくことはサイエンスの話だ」とした。

 他方で、無処置対照試験には、「客観性や公正性をどう確保するか」といった課題があるとする意見も上がった。それらを維持できるスキームをどう確立するかは、業界として検討する必要があるとする。

 そう指摘した参加者は、サイエンスのレベルでヘルスクレームの表現に差を付ける考え方が海外にはあると紹介した上で、プラセボ対照か否かだけでなく、傾向差や論文の数など「サイエンス全体」のレベルを踏まえた上での食品の機能性表示のあり方を検討する必要があると意見した。

 最後に、今後の方針についても確認が行われた。専門家グループを組織し、関係機関との話し合いに備える。

(冒頭の写真:唐木代表の説明資料より)

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