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健康食品広告を追う~「学習アップ」サプリメント(後)

<10代の「学習」に関する科学的根拠はない>

 DHA・EPAやホスファチジルセリンを配合したサプリメントによって、「学習」サポート効果が得られれば、受験生は苦もなく志望校に合格するだろう。だが、そのような甘い話はない。

 DHA・EPAの普及啓発を行う団体の関係者は、「DHA・EPAを多く取っても、成績がアップすることはない。(10代の子供を対象とした学習アップに関する)根拠はない」と話す。健康食品分野に詳しい早稲田大学の矢澤一良教授も、「10代の人がホスファチジルセリンを含むサプリメントを飲んで、学習能力がアップしたという学術的な知見はない」と説明する。

 (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所の素材情報データベースによると、DHAとEPAについては、ヒトでの有効性として、冠状動脈疾患などに対する効果が示唆されている。しかし、10代の「学習」サポート効果に関するエビデンスは報告されていない。

 さらに、ホスファチジルセリンについては、「多くのサプリメントに使用されているホスファチジルセリンは大豆やキャベツ由来であるが、その有効性については十分な情報が見当たらず、さらなる検証が必要である」としている。

 DHA・EPA、ホスファチジルセリンを摂取し、10代の「学習」をサポートできるという科学的根拠は確立されていないのが現状だ。市場を見渡すと、今回の事例も含め、子どもの「学習」サポート効果を標ぼうしたサプリメントが販売されている。だが、合理的な裏付けのある商品は存在しないと考えられる。志望校に合格するためには、サプリメントに頼らず、しっかりと勉強するしかなさそうだ。

<販売会社「表現がいけないのならば変更」も>

 合理的な根拠がないのにもかかわらず、サプリメントの摂取で、受験生の「学習アップ」をサポートする効果が得られると標ぼうすることは、景品表示法や健康増進法に抵触する恐れがある。

 記者は販売会社の(株)エメトレに話を聞いた。通販事業部の担当者は、「当社は景表法や薬機法を踏まえ、誤解を招く表現はしていない。(学習の)『サポート』ということであり、効果効能はうたっていない」と説明。サプリメント『Dr.Dekisugi』については、「学習能力を上げるための商品として作っている。子どものための商品として、健康に育ってほしいという部分もある」という。

 同社は、関連法規を踏まえて表示していると強調する。しかし、サイト全体を読むと、消費者はサプリメントの摂取により、子どもの成績が向上する可能性があると誤認するだろう。その点を指摘すると、「表現がいけないのならば変更する」と話した。

(了)

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