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健康食品の安全性、制度化に意欲
厚労省・新開発食品保健対策室長 「『いわゆる』取るために」

 厚生労働省の新開発食品保健対策室(食品基準審査課)の今川正紀室長は2日、(一財)医療経済研究・社会保険福祉協会(社福協会)主催の健康食品フォーラムで講演し、健康食品の制度化に意欲を示した。現状、健康食品には法的な定義がなく、「いわゆる健康食品」などと呼ばれている。そうした曖昧な位置づけから脱却するためにも、安全性に関する制度を設ける必要があると指摘。保健機能食品も含め、安全性がしっかり管理されているものを「健康食品」と呼び、法的にもそう定義付ける制度作りに向かいたい考えを語った。

安全性しっかり管理 それを健康食品と呼ぶ

 厚労省では現在、「いわゆる健康食品」の範囲について、指定成分等含有食品や保健機能食品も含める形で暫定的に整理している。機能性表示食品など保健機能食品まで包含させていることへの違和感も指摘されているが、食品安全委員会の考え方を援用している。今川室長は講演で、「今後、『いわゆる』を取っていかないとならない。その前に、健康食品の制度を固める必要がある」と述べた。

 今川室長はまた、健康食品は今後さらに普及し、消費者の利用が増えていくとする見方を示した上で、「安全性をしっかりやっていく必要がある。それに対する異論は事業者にもないと思う。だが、そのための制度が厚労省側で抜けている。安全性をしっかりやっていくための制度が必要だ」と述べ、健康食品の安全性管理を目的にした制度作りに向かう意欲を示した。「安全性をしっかり管理したものが健康食品。そこには、機能性表示食品やトクホ(特定保健用食品)も含まれる。逆に、安全性を管理していないものは健康食品と呼んではならないと思っている」とも語った。

安全性管理の体系 頂点と土台あるが「真ん中ない」

 今川室長はこの日、厚労省食品基準審査課で所管する指定成分等含有食品制度をテーマに講演。同制度の施行後、同省で対応に当たるようになった、指定成分等含有食品や保健機能食品も含めた「いわゆる健康食品」との関連が疑われる健康被害情報の収集の現状についても解説した。健康食品の安全性に関する制度づくりを検討する背景には、健康被害情報の収集を制度化したい狙いもあるとみられる。

 講演の中で今川室長は、健康食品の安全性管理に関する体系を「ピラミッド」になぞらえてみせた。頂点にGMPでの製造・品質管理を法律で義務付けている指定成分等含有食品、土台部分にGMPによる安全性管理などを求めた通知(いわゆる平成17年通知)を置く構図を示した上で、「ピラミッドの真ん中の仕組みが足りていない」とした。

 今川室長は、「真ん中」がないままでは、原材料などについて健康被害リスクに関わる情報が出てきた場合、指定成分等含有食品に指定する「検討を始めざるを得ない」と指摘。そのようになる前に、「(安全性管理が)重要な物質を行政として示す」ことで、指定成分等含有食品制度とは異なる枠組みにおいて、健康被害情報の報告も含めた安全性管理を事業者に求められるようにする仕組みを作り、それを「真ん中」に据えたい考えを示した。

 なお、この日の健康食品フォーラムでは、今川室長の他に、国立医薬品食品衛生研究所の合田幸広所長が登壇し、「食薬区分の考え方と実際」をテーマに講演した。

 合田所長は、講演の冒頭、「個人的考えと理解を発表する」と断った上で、講演の中で機能性表示食品について言及。機能性関与成分として、専ら医薬品リストに収載されているものが複数届け出されていると指摘し、強く疑問視する姿勢を示した。

【石川太郎】

(冒頭の画像:講演する今川室長)

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