健康日本21、目標に「ロコモ減少」 厚労省が告示案、第三次運動を24年度から
健康増進法の規定に基づく21世紀の国民健康づくり運動「健康日本21」の第三次運動を2024年度から開始するに当たり、厚生労働省は、運動の基本方針や達成目標などを示す告示の改正案を22日までにまとめ、パブリックコメントを開始した。来月20日まで受け付ける。
告示案では、国民の健康増進に向けた基本的な方向として、これまでも掲げてきた健康寿命の延伸、健康格差の縮小はそのままに、個人の行動と健康状態の改善、社会環境の質の向上などを新たに規定。個人の行動変容を促して健康増進につなげる。目標には、ロコモティブシンドロームの減少や骨粗鬆症検診受診率の向上などを新たに盛り込んだ。
13年度から展開された第二次健康日本21の終期は23年度。厚労省健康局によると、昨年10月に行われた第二次運動の最終評価では、生活習慣病の「一次予防」(生活習慣を改善して健康を増進し、その発症を予防すること)に関連する指標の悪化のほか、全体的には改善が見られていたとしても一部の性・年齢階級別では悪化している指標の存在や、健康増進に関連するデータの見える化および活用が不十分──などといった課題が指摘された。そうした課題を踏まえ、基本方針を改正し、新たに2035年度までの12年間、第三次の国民健康づくり運動を展開する。
第三次健康日本21の基本的な方向として新たに規定する「個人の行動と健康状態の改善」では、栄養・食生活、身体活動・運動、休養・睡眠、飲酒、喫煙、そして歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善や、そうした生活習慣の定着化にともなう生活習慣病の発症・重症化予防の取り組み推進を掲げる。加えて、「予防だけではない健康づくりが重要」であるとし、「生活機能の維持・向上」に向けた取り組みも推進する。
生活機能の維持・向上に関する目標については、ロコモティブシンドローム予防や骨粗鬆症検診に関する目標を設定するほか、メンタルヘルスに関連して「うつや不安」の軽減に関する目標も定める。
ロコモティブシンドロームに関する目標は、第二次の健康日本21でも設定されていたが、目指したのは「認知度」の向上にとどまっていた。第三次運動ではより踏み込み、足腰に痛みを抱える65歳以上高齢者の実数減少を目指すことになる。一方、大腿骨などの骨折リスクを高める骨粗鬆症の検診受診率の向上は新しく取り入れる目標。9年後の32年度に15%まで引き上げることを目標とする。
【石川太郎】
関連資料:改正告示案=国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針の全部を改正する件(案)(政府のパブリックコメントサイト)