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伝統素材にエビデンスを 
植物発酵エキス 老舗企業の取り組み

 伝統的な健康食品素材である植物発酵エキスにも一定のエビデンス(科学的な根拠)が求められる。それがなければ市場で生き残ることは困難になるに違いない──そんな信念からここ数年ヒト試験を実施し続けている植物発酵エキスメーカーがある。創業51年目を迎えたインターナショナルフーズ㈱(東京都多摩市、島田佳典社長)だ。昨年には同社として初めて査読付き論文を発表。また、3カ年にわたる長期ヒト試験を先ごろ終えた。

 論文は昨年8月、日本機能性食品医用学会が発行する『機能性食品と薬理栄養』に掲載された。同社が製造販売する植物発酵エキス「スーパーオリエント108」(論文上の名称はSOR108)の継続摂取によって、腸内フローラ(腸内細菌叢)の多様性が改善されるかどうかなどを、健常者対象のRCT(ランダム化比較試験)で検証したもの。試験は女子栄養大学栄養クリニックらが実施した。

査読付き論文で腸内フローラ多様性改善を報告

 スーパーオリエント108は、計109種類の植物を発酵させた上で滅菌処理した植物発酵エキス。使用している原料の多さを訴求できることも魅力になり、現在までに植物発酵エキス市場で定番化した。

 RCTは、UMINに事前登録の上で日本国内で行われた。被験者は20~75歳の健常な男女20人。スーパーオリエント108の摂取前および摂取8週間後、または摂取終了4週間後における腸内細菌叢の変化を、次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析によって検証し、コントロール群(同社製ではない植物発酵エキスを摂取)と比較。また、排便回数と排便量の変化も調べた。

 その結果、スーパーオリエント108摂取群の腸内細菌叢の多様性が、試験期間中および試験終了後において、摂取開始前との比較で有意に増加。コントロール群にはそうした変化が見られず、群間比較における有意差も確認された。排便回数と排便量の増加も見られたという。

 論文では、「被験者数が限られる」として、さらに検証を行う必要性を指摘。ただ、「対象人数に限りのある中、8週間の摂取で(腸内細菌叢の)多様性が増加した意義は大きい。さらに、試験終了後4週間経ってもその影響の持続が確認されたことの意義は考慮に値する」と評価した。

3カ年の長期ヒト試験も実施

 一方、3カ年の長期ヒト試験はどのようなものだったのか。

 この研究では、同社の植物発酵エキス「スーパーオリエント」シリーズの第1弾製品であり、40年近い製造販売実績のあるスーパーオリエント39の機能性を検証した。事前のヒト試験で示唆されていた便通改善機能や腸内腐敗産物減少機能など、腸内環境改善機能をめぐるエビデンスの補強、拡充を目的に2019年にスタート。昨年末までに第3期試験を終え、全ての行程を終えた。

 スーパーオリエント39は、使用原料は40種類と、スーパーオリエント108と比べて少ないものの、発酵に使用する酵母菌の活性を凍結乾燥によって保持。これにより「生菌型」であることを特徴とする植物発酵エキスになっている。特徴としては他にも、β‐グルカンを含む食物繊維の含量が多い一方で糖質が少ない、熱処理を加えず凍結乾燥しているため酵母に由来するアミノ酸含量が多い──などといった特徴がある。

 スーパーオリエント108のRCTと同じく、女子栄養大学栄養クリニックを通じて実施されたこの研究では、最終的に、同39の摂取によって排便量、排便回数の増加をはじめ、精神的不快感の軽減、摂取による満足度といった点で有用性がコントロール群との比較で確認。また、先行研究で示唆されていたフェノール、パラクレゾール、スカトールの減少といった糞便中腐敗産物減少機能について新たに、アンモニアの減少傾向が確認された、という。

 「これまでに得てきたデータを生かしつつ、さらなるエビデンスの蓄積に取り組んでいく」。インターナショナルフーズの島田社長はそう話す。「どのような切り口で実施するか、今はそこに悩んでいるが、今後も試験を続けたい」。

<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都多摩市関戸2-40-27
TEL:042-339-4531
事業内容:健康食品の製造、販売、企画

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