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井上大臣「消費者利益に資する改正に」~契約書面電子化検討会スタート

消費者庁は7月30日、第1回「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」(契約書面電子化検討会)を開催した。
検討会では、契約書面の電磁的方法による提供が可能な場合の「消費者からの承諾の取り方」、「電磁的方法による提供のあり方」について議論する。東京大学名誉教授の河上正二氏を座長とし、弁護士、消費者団体、事業者団体などから迎えた10人の委員で構成する。

冒頭の挨拶で井上信治内閣府特命担当大臣は、これまで関係者や専門家と議論をする機会が必ずしも十分ではなかったとの指摘を受けて、「法律が成立した以上、その内容が本末転倒や骨抜きとなることは絶対に避けなければならない。ゼロベースから専門家の意見を改めて聞き、政省令の具体化に向けて丁寧に議論を重ねていきたい。同改正が、消費者利益に資するかたちで活用されるよう、取りまとめに向けた活発な議論をお願いしたい」と述べた。

小田井正樹委員は、「これまで不可能だった、書面の電子媒体による交付が認められたことについては、選択肢が広がったという観点では評価したい。一方で、電子化によるメリットを十分に享受できない消費者や事業者が不利益を被らないような手当てが必要だと考えている。また、電子交付の承諾の取り方など、具体的な議論の場として活用していきたい」と話した。鹿野菜穂子委員は、「電子化のメリットがあることも理解できるが、大きな懸念点が残る結果となってしまった。契約書面を電子化することで、消費者が、契約後にその契約内容を見直す、本人以外の第3者が問題点を含めて指摘する機会を奪うことになる。そうした懸念点を重点事項の1つとして議論を重ねていきたい」と話した。

河村真紀子委員は、「訪問販売など、アナログな販売方法がある一方で、書面だけがデジタル化されるというのは問題。不招請勧誘や突然の訪問などをまずは規制し、その上で書面の電子化を検討すべきで、法改正のプロセスも含めて残念な結果となってしまった」と懸念を示した。福長恵子委員は国民生活センターの相談員の立場から、「電子化によって、家族などの契約者の第3者が気づきにくくなることから、相談員からは同改正を危惧する声が多い。消費者がその意図をしっかり理解し活用できるのか、消費者団体などの意見を参考に活発な議論を行いたい」と話した。

電子化に対する懸念を示す委員が大半を占めるなか正木義久委員は、「改正は意義深い。離れて暮らす家族など、遠隔地からもその契約内容を確認することができる。消費者にとって武器になるのではないか」と期待を示した。

最後に河上正二座長は、「電子化の恩恵は、誰もが受けられるようにしなければならない。電子化を悪用した犯罪は、絶対に阻止しなければならない。同検討会として、その役割を果たしたい」と意欲を示した。

同検討会は今後、検討事項に応じて、広く意見を聴取するためのワーキングチームを置く。ワーキングチームは、消費者団体や弁護士・弁護士団体、事業者団体、デジタル技術の専門家などから、承諾の実質化などについて、月1回程度の頻度で計5~6回程度を目途にヒアリングを実施する。次回は、8月下旬に第1回ワーキングチーム会合を開催。ワーキングチームからの報告をもとに来年春頃を目途に第2回検討会を開催。その後、取りまとめに向けて議論を行う。

【藤田 勇一】

(冒頭の写真:右から井上大臣、河上座長、伊藤長官)

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