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九州各地の健康づくり企業を支援~食の新たな価値を創造(後)

乳酸菌・乳酸菌生産物質の研究も
――「シンバイオティクスプロジェクト」とは
森下 シンバイオティクスプロジェクトの「シンバイオティクス」の本来の意味は、腸内菌叢バランスの改善などに作用する生きた菌を摂取する「プロバイオティクス」と、腸内有用菌の増殖を促進したり、有害菌の増殖を抑制したりする作用を持つ成分を表す「プレバイオティクス」の2つを組み合わせることで、双方の機能がより効果的に健康に有利に働くことを示した考え方のことです。当協議会では、設立当初から、発酵食品などの微生物が関与した食品の健康機能に着目していました。九州に数多くある伝統的な発酵食品や微生物に、現代の食と健康に価値を見いだす取り組みにシンバイオティクスの考え方が重なり、プロジェクト名としました。人の健康に対し大きな期待がかかる食品と微生物の関係は、乳酸菌や発酵産物をはじめとして、様々な利活用の研究が進んでいます。当協議会でも、この取り組みを推進していこうと考えています。

広域連携の一環として海外への販路拡大も
――海外との連携も注力しているのですか
森下 海外連携の取り組みの内容としてはいくつかあります。その1つが、「ヘルシーファーミングプロジェクト」です。同プロジェクトは、欧州最大の乳酸品、動物飼料の生産地域にある食品クラスター「Valorial」との交流により生まれた国際連携事業です。Valorialの一員であった、BLEU-BLANC-COEUR協会が家畜にオメガ3系脂肪酸が豊富な亜麻を与えることで家畜を健康に育て、人への効果も研究していることを知り、当協議会の会員が、日本でもその飼料を使い、同様の結果が得られるかどうかを研究開発するプロジェクトです。その結果、フランスと同様の結果が得られ、同時に生産される畜産物や加工品が国内の市場で高い評価を得られる結果につながりました。協議会の日仏連携で初の事業化事例です。

――フランスとの産業交流に積極的に取り組んでいるようですが
森下 フランスとの産業交流は、2010年にフランスの食品産業クラスターとMOUを締結しスタートしました。その後、より積極的な産業交流内容をお互いに定義しました。これまで毎年のように、日本、フランス双方向での視察・商談ミッションを重ねており、既成概念を打ち破った販売を目指し、現地商社などとの連携構築を進めてきました。
こうした活動が実り、今年10 月1日、フランス農業食品イノベーションクラスター「VITAGORA」が、熊本県庁産業支援課内に「VITAGORA Japan」のオフィスを開設しました。「VITAGORA」は、フランスブルゴーニュ地方の地場産業の研究開発・販売促進だけでなく、世界中にネットワークを構築し、すでに日本の大手企業とも連携している組織です。これまで数多くの国や企業の、欧州市場への参入をサポートした実績を持っています。当協議会では、今後も「VITAGORA Japan」や熊本県と協力して、熊本や九州の様々な食品や食品産業に関わる技術、企業をフランスに紹介していくとともに、輸出入や技術開発などを通じ、新たなイノベーションを創出する取り組みを進めていきます。

――今後の取り組みについて
森下 地域活性化のため補助金を利用し、産学官で地域特産品開発を行うという話はよくあります。しかし、本当の意味での地域活性化とは、売れ続けるための商品開発でなければばなりません。消費者の行動を起こす広報、消費者の期待に応える品質、消費者の選択に応える保証を念頭に、新たな商品開発に取り組みます。地元の特産品に対する地元の研究成果の活用や、九州の伝統食の科学的検証による新たな可能性の開発など、地元九州の食の新たな価値を創造していきます。

――ありがとうございました。

<九州地域バイオクラスター推進協議会 プロジェクトマネージャー 森下 惟一 氏 プロフィール> 
 北海道大学大学院水産学研究科修了。農林水産省畜産試験場研究員を経て帰郷し、1997年から地元水俣の産学連携のための第三セクター設立や、文部科学省などの公的事業の導入に携わる。2006年より熊本県の産学官連携事業のバイオテクノロジー系のコーディネータとして活動。13年より現職。専門分野:微生物工学

(冒頭の写真:森下氏、記事中の写真:(公財)くまもと産業支援財団外観)
【聞き手・文:藤田 勇一】

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