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九州のヘルスケア産業を展望する~産学官が結束「おやつ」から「機能性表示食品」まで(後)

<機能性表示食品開発を積極的に支援>

 01年9月、福岡県にバイオテクノロジーを核とした新産業・バイオベンチャーの創出と、関連企業・研究機関の一大集積拠点(バイオクラスター)の形成を目指し、福岡バイオ産業推進会議が発足、福岡バイオバレープロジェクトがスタートした。㈱久留米リサーチ・パーク(福岡県久留米市)が事務局を務め、九州大学、久留米大学、九州工業大学、福岡大学、産業医科大学に加え、福岡県、久留米市、九州経済産業局などが参画している。

 04年4月、研究開発支援施設として福岡バイオインキュベーションセンターが稼働。来年4月には、新たなインキュベーション施設として「福岡バイオイノベーションセンター」が開所する予定。県内産業のさらなる競争力向上のために、研究開発支援や製品化・事業化⽀援、機能性表⽰⾷品開発⽀援などを行う。
 
 機能性表示食品の届出に向けた支援では、目利き調査やシステマティックレビュー(SR)の提供、専門家による届出資料全体の第三者的チェックなどを行う。制度に関する支援について、相談窓口を担当する㈲健康栄養評価センター(福岡県春日市)の柿野賢一社長は、「中小企業・小規模事業者が欲しがっているのはお金ではなく、学術支援と相談窓口。最後まで親身にエスコートしてくれる担当者やシステムが必要」とし「各自治体ごとに制度を理解した相談窓口担当者を置き、地元の大学・公設試験場とリンクさせるシステムを構築すれば、事業者は機能性表示食品届出に向けて意欲が高まる」と培った経験を元にアドバイスする。

<海外連携や販促支援にも取り組む>

 福岡バイオ産業推進会議は05年、韓国・春川市の春川バイオ産業振興院、07年に中国瀋陽市の緑谷生物技術産業有限公司、09年にオーストラリア・クイーンズランド州のクイーンズランド治験ネットワークとMOUを締結。海外との連携も積極的に進めている。

 また、11月11日・12日にマリンメッセ福岡(福岡市博多区)で開催されたFOOD STYLE 2020 in FUKUOKA内で、「ふくおか発 機能性表示食品ヘルスケア商品展示商談会」を開催。健康の維持増進に役立つ商品・素材を集め、機能性分野の素材、食品・化粧品などに特化した企業が25社出展した。担当者は、「コロナ禍で直接会って商談する機会が制限されているなか、昨年以上の来場があり出展各社の満足度は高かったようだ。今後もこうした取り組みを通じ、各社の発展を支援していきたい」と話す。

<コロナ禍で止まっていたビジネスが再稼働>
 
 今年4月、新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受けて、東京・神奈川・大阪などに緊急事態宣言が発令された。その対象地域となった福岡だが、他地域同様にサービス業など対面販売事業者は苦戦を強いられている。一方で、コロナがもたらした国民のセルフケアに対する意識向上や、手頃な広告枠への出稿による露出増で、九州通販各社は業績を伸ばした。ここ数年続いた業績の落ち込みが底を打ち、回復の軌道に乗れるかもしれないと期待する声も聞かれた。 

 そうした九州通販会社をクライアントに持つ、健康食品受託製造の室町ケミカル㈱(福岡県大牟田市)は、商談が止まり新規案件の落ち込みはあったが、好調な国内通販各社からの発注が増えたため、業績への影響はほとんどないという。海外ビジネスについても、顧客の海外販売不振の影響は受けたが、10月以降、海外輸出のための申請書類の作成依頼が復活するなど、少しずつ動き始めているようだ。新規営業に関しても、「オンライン商談やオンライン展示会なども積極的に活用していきたい」と話す。

 ㈱東洋新薬(福岡市博多区)は、オンライン会議によって九州という地理的・時間的なアドバンテージがなくなり、生産や開発部門担当者の商談への同席が増加。遠隔地のクライアントとの商談回数が増加したと前向きにとらえる。また、緊急事態宣言の前後で、発送代行の問い合わせが増加。「物流や生産拠点を分散させることは、事業の存続に不可欠。当社や九州を活用してもらいたい。消費者については、健康の意識が高まっている。エビデンスの確かなものを提供し、消費者の健康維持に貢献したい」と話している。
 
 原料販売を行う大石化成㈱(福岡県久留米市)は、外食業界向けの原料販売は減少したが、通販を中心とした健康食品業界向けは好調に推移している。主力商品の「あまおうパウダー」を、これまでの製菓製パン向けだけでなく、粉末飲料や健康食品の差別化素材として、また、「とよみつひめパウダー」をネクストあまおうの福岡ブランドとして育てていきたいとしている。九州の素材を生かし、九州の通販会社とともに市場を盛り上げていく方針だ。

(冒頭の写真:熊本 天草五橋、記事中の写真:福岡バイオバレープロジェクトロゴマーク)

【藤田 勇一】

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