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九州のヘルスケア産業を展望する~産学官が結束「おやつ」から「機能性表示食品」まで(前)

日本各地で、産学官連携による地域活性へ向けたヘルスケア産業振興策が進むなか、九州ではオール九州による食の新たな価値の創造や、バイオ分野に特化したプロジェクトの推進など、活発な動きがみられる。第2部では、産学官連携の現状と課題、今後の展望をレポートする。コロナ禍における九州各社の現状についてアンケート調査を行った。事業者の抱える課題と取り組みについて一部を紹介する。

<高まる九州食材への期待>

 九州は農水産物の基盤基地と言われ、そうした九州産原料にこだわった商品開発が積極的に行われている。また、通販王国といわれ、九州素材の特性を生かし、個性豊かな商品や企業理念に基づき業績を伸ばしてきた通販会社が多数存在する。ECの拡充で販売スタイルの転換を余儀なくされ、同時に、商品の確かなエビデンスが求められるようになった。早い段階から機能性表示食品に取り組み、ラインナップをそろえてきた企業もある。機能性表示食品を販売したことで、既存商品の売り上げが伸びたという声もあった。

 しかし、それが必ずしも業績向上にはつながらず断念する事業者、中小企業では最初からハードルが高いとしてあきらめるケースも少なくない。それでも、伝統的に健康に良いとされる食材が多く、コロナ禍にともなう国民の健康意識と、食品通販ニーズの高まりが、九州食材への期待を高めている。

<食の新たな価値、伝統食の確かなエビデンスを発信>

 機能性表示食品だけでなく、九州ならではの特徴を生かした商品開発を推進する動きもある。中小企業が多く、一企業単独では限界があるため、産学官連携による地域のヘルスケア産業振興策として、九州地域バイオクラスターが展開されている。(公財)くまもと産業支援財団(熊本県上益城郡益城町)が事務局を務める。バイオ関連の企業・大学・研究機関、行政が連携することで、食品の新たな価値を創造することを目的に活動している。

 事務局を務める九州地域バイオクラスター推進協議会(小野友道会長)は2007年9月に発足。現在、会員数は団体・個人あわせて約170。発足当初は機能性表示食品の届出に関連する取り組みが中心だったが、現在の活動内容は多岐にわたる。

 その1つが地域素材を活用した健康おやつ開発「おやつプロジェクト」。独自の基準を設け、審査を行う。基準を満たした商品を「九州健康おやつ」に認定し、認定商品には「おやつマーク」を付与している。各社のECサイトやECモールで購入できる。また、同協議会は、10月5日から7日までパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された専門展「ウェルネスライフジャパン展」に出展し、「九州おやつパビリオン」を展開した。

 そのほか、10年からフランスの食品産業クラスターと連携を開始。今年、フランス農業食品イノベーションクラスター「VITAGORA」から熊本に駐在員を受け入れ、ヴィタゴラジャパンオフィスを熊本県庁産業支援課内に設置した。ヴィタゴラジャパンは、同協議会や熊本県と協力して、熊本や九州のさまざまな食品や食品産業に関わる技術・企業をフランスに紹介し、輸出入や技術開発などのイノベーションを創出していく方針だ。

 九州地域バイオクラスター推進協議会の森下プロジェクトマネージャーは、「九州には、古くから健康食材として食べられているものが多くあり、中には全国区になっているものも数多くある。そこに確かなエビデンスや新たな価値が加わることで、付加価値も高まり、新たな商品展開へとつなげることができる。個性的な県の集合体である九州地域として、オール九州で食文化を盛り上げていきたい」と意気込む。

(冒頭の写真:熊本 天草五橋、記事中の写真:九州地域バイオクラスター推進協議会ロゴマーク)
(つづく)
【藤田 勇一】

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