一からわかる!化粧品広告規制~上級編(前)
今村行政書士事務所所長(化粧品薬事コンサルタント・MBA)
今村 彰啓 氏
前編:エイジングケアの表現について
<認められる表現の範囲>
『化粧品等の適正広告ガイドライン』によれば、エイジングケアとは、加齢によって変化している現在の肌状態に応じて、化粧品などに認められた効能・効果の範囲内で行う年齢に応じた化粧品などによるケアと定義されている。エイジングケアを標ぼうしながら、若返り、老化防止、シワ・たるみの防止などの化粧品の効能効果の範囲を逸脱した表現は認められない。
認められる表現の範囲は、年齢に応じた化粧品などの効能効果の範囲内のケアの「エイジングケア」を用いた表現とされている。
認められる表現の具体例としては、以下が挙げられている。
・年を重ねた肌に潤いを与えるエイジングケア
・年を重ねた肌に潤いを与える成分○○を配合したエイジングケア
・年を重ねた貴方の肌に今必要なもの、それはすこやかな肌のための潤うエイジングケア
・美しく齢を重ねるために大切なこと、それは潤いに満ちた肌のエイジングケア
<NGとなる表現とは?>
一方、認められない表現の範囲と具体例としては、以下が挙げられている。
(1)素肌の若返り効果に関するエイジングケア表現
・あきらめないで下さい。エイジングケアで若さは再び戻ります。
・老化を招く原因の一つ、活性酸素を取り除いて、若々しい素肌へ導くエイジングケア
(2)素肌の加齢による老化防止効果に関するエイジングケア表現
・アンチエイジングケア
・肌の老化対策エイジングケアとして開発された
(3)加齢によるシワ・たるみの防止、改善に関するエイジングケア表現
・シワ専用美容液、シワを直す、シワを取り去るエイジングケア
・肌細胞に直接働いてシミ、しわ、たるみにエイジングケア
(4)配合成分、作用機序の説明で老化防止を標ぼうしたエイジングケア表現
・肌の老化と戦う抗酸化成分○○を配合、○○エイジングケア
・肌の老化防止に役立ち、特にコラーゲンの生成能力を高める○○成分によるエイジングケア
(5)肌質を改善し、老化防止を標ぼうするエイジングケア表現
・エイジングケアで衰えに負けない肌をつくる
・素肌の力を若返らせて、肌の老化防止を防ぐエイジングケア
(6)エイジングケアを個別の具体的な効能・効果、または作用であるかのように標ぼうした表現
・肌のハリ、エイジングケア、保湿のために
・エイジングケア成分を配合しました
メーキャップ効果などの物理的効果によって、加齢による肌の老化、または加齢によらない紫外線や乾燥などによる肌老化を目立たなくさせる旨の表現は、事実に反しない限り可能である。具体例として、以下が挙げられる。
・年齢のサイン(しみ、くすみ、シワ)をおおうエイジングケア
・皮膜形成成分が乾燥過程で収縮するなどの物理的効果によって、シワを伸ばすエイジングケア
(つづく)